Focus of Highlight [パリ五輪予選WorldSkateboardingTour2024 ドバイ大会 ストリート男子決勝]
Focus of Highlight(フォーカスオブハイライト)とはコンテストにおけるターニングポイントとなったトリックをCURRENT編集部が独自の見解で紹介するコーナー。
今回は3月10日に開催された2024年最初のパリ五輪予選フェーズ1最終戦、ワールドスケートボーディングツアー2024ドバイ大会ストリート男子決勝をフォーカス。
今回「Focus of Highlight」となるライダーはこちら。
自身初の世界タイトルを獲得した根附 海龍のトリックセクション3トライ目にハンドレールで決めた「ヒールフリップバックサイドテールスライドフェイキー」。
根附にとっては非常に成功率の高いトリックで、成功すること自体は特別なことでなかった。
このトリックを決めるまでのプロセスが非常にターニングポイントになった。
ランセクションを終え、2位につけた根附は首位グスタホ・リベイロ(ポルトガル)に4.09ポイント差でトリックセクションへ。
先にトライする根附は少しでもグスタホにプレッシャーをかけておきたいところ。
1トライ目に根附がチョイスしたトリックは、彼のレパートリーの中でも最高難易度クラスである「ヒールフリップバックサイドノーズブラント」。
非常に緻密なデッキコントロールと技術が求められるトリックで決まれば間違いなく90点台が狙えるので最初から勝負に出た。
根附は1トライ目、2トライ目と決めれずに徐々に苦しくなってきた最中、グスタホが2トライ目で「トレフリップフロントサイドノーズグラインド」を乗ったのだが「ノーズグラインド」が掛かっていないという判定で84点台となった。
本来なら90点台近いスコアが期待できるトリックで本人の意思で採用しない意思表示をすれば再度同じトリックを完璧に決めた時に本来のスコアをマークすることが出来るルールだが、ここでグスタホが選択したのはスコアをマークすることだった。
これは根附が2トライ目までミスしたことによりここでスコアをマークすることにより自身も次のトライに繋げられるという狙いと根附にプレッシャーをかけられるというメリットを狙ったと推測。
この狙いは優勝を争う上で非常に賢明な判断だと筆者も感じた。
だが、この判断が優勝争いを左右する決断となった。
ここで根附は状況を考慮したのと「ヒールフリップバックサイドノーズブラント」を合わせるにはまだ時間がかかると判断したのだろう。
3トライ目に「ヒールフリップバックサイドテールスライドフェイキー」に切り替え、一発で決めた。
僅かに5回の試技の中でそれまで2回連続挑戦していたトリック、徐々に修正していってる最中にも関わらず違うトリックに変えるということはライダーにとっては非常にリスクの高いことなのだ。
切り替えたトリックも決して簡単なトリックではないく、その証拠に85.36を出している。
これで完全に流れを掴んだ根附は3トライ目でグスタホも90点台を出し、さらにプレッシャーを掛けられたにも関わらず「ノーリーインワードフリップフロントサイドボードスライド」を4本目に決めグスタホを僅か0.04ポイント上回り逆転優勝した。
こういった判断が世界チャンピオンになれるかの分かれ目として左右することもあるところがコンテストスケートボードの本当に面白いポイントだ。
最後に念を押しておくが、グスタホも根附も両者ともにこれ以上ないベストな判断で0.04という僅差での順位になったという事を。
これは余談だが、この大会前に日本で根附に会った際に本人から聞いたのだが「あまり今回のコースは自分に向いていない設計」と語っていた。
にも関わらず世界王者になるあたり、スキルはもちろんだがメンタルも非常に強くなっることが感じとれ今後の活躍にも期待し、楽しみだ。
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