パリ五輪予選WorldSkateboardingTour2024 ドバイ パーク男子決勝! | CURRENT

パリ五輪予選WorldSkateboardingTour2024 ドバイ パーク男子決勝!

| 2024.03.04
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2024年度最初のパリ五輪予選となったワールドスケートボードツアー2024ドバイ大会。

世界ランキング1位のジャガー・イートン(アメリカ)はストリートに専念するためこの大会を回避。
同ランキング2位のオーグスト・アキオ(ブラジル)、6位のベドロ・バロス(ブラジル)の決勝常連組も準決勝で姿を消す波乱の今大会。
東京五輪金メダリストのキーガン・パルマー(オーストラリア)も怪我の影響で準決勝を滑りきれず決勝へは進めなかった。

波乱の今大会、決勝のスタートリストは、ハンパス・ウィンベルグ(スウェーデン)、ダニー・レオン(スペイン)、ペドロ・キンタス(ブラジル)、ヴィクトル・ソルムンド(デンマーク)、アレックス・ソルジェンテ(イタリア)、キーラン・ウーリー(オーストラリア)、ギャビン・ボットガー(アメリカ)、テイト・カリュー(アメリカ)と多くの国旗が名を連ねた。

世界ランキング23位でブラジル国内4番手につける、ペドロ・キンタスが同国内唯一決勝へ残った。
同国内3番手のペドロ・バロスまで約8万5千ポイントほどあるため、ここで少しでも差を詰めておきたいところだ。



[1本目]

決勝最初の滑走者はスウェーデンの新鋭、ハンプス・ウィンベルグが勢いよく飛び出す。


高さのあるマドンナエアーでスタートしバックサイド540ノーズグラブ、モヒカンレールでフロントサイドノーズグラインドと繋ぎキックフリップインディでトランスファーするとバリアルフリップインディも決め、最後はアーリーウープのキックフリップインディボディバリアルで締めフルメイク。
これにはMCも「Incredible run!!!」(もの凄いランだ)と興奮を隠しきれない。
86.22のハイスコアを叩き出した。


これに続きたい決勝進出者の中で最年長、スペインのダニー・レオン

スピードに乗ったハイエアーで勢いに乗るとトランスファーバックサイドリップスライド、ビッグクォーターでバックサイドテールスライドを端まで流し段差のあるアールにアウトするリスキーなトリックを披露。

これにはゲスト解説の東京五輪同種目金メダリスト、オーストラリアのキーガン・パルマーも「オーマイガー!アメイジング!!」(なんてことだ、これは凄い)と絶賛。
そのまま勢いに乗りヒップオーバーのバックサイド360ミュートグラブ、モヒカンレールでフロントサイドスミスグラインドをメイク後少しバランスを崩すも流石の経験値と技術で立て直した。
そのまま勢いは加速しボルケーノでブラント180、モヒカンレールでフロントサイドノーズブラントスライドも決めフルメイクしこの日最初の90点台、90.13をマーク。

同国のライバルが準決勝で姿を消す中、少しでも世界ランキングのポイントで差を詰めておきたいブラジルのペドロ・キンタスもバリアルフリップインディグラブやハイエアーバックサイドグラブからディザスターを含むフルメイクで88.56と幸先の良いスタートに。
オーストラリアのキーラン・ウーリーもフルメイクで89.21、前回王者のギャビン・ボットガー(アメリカ)もオリジナルトリック「通称:ラウンド・ザ・ワールド(ボディーバリアル to フェイキー)」をラストに決めるフルメイクで88.90。
準決勝で首位通過のテイト・カリュー(アメリカ)も回しトリックも3つ入れる高難度の構成をフルメイク 87.72とそれぞれ1本目はしっかりまとめてきたという印象。

スペインのダニーが唯一の90点台をマークし頭ひとつ抜け出した印象だ。


[2本目]

デンマークのバーチカル種目レジェンドライダーで東京五輪にも出場したルーン・グリフバーグをコーチに持つヴィクトル・ソルムンド

高さのあるバックサイド540テールグラブからスタート さらにバックサイドキックフリップインディグラブ、バックサイド540バックサイドグラブなど終始高さとスピードあるランでフルメイクし86.63をマーク。


もう一人、2本目で見せたのがアメリカのギャビン・ボットガー

途中のクウォーターあるでバックサイドクルックドグラインドフェイキーにアップデートし、ラストのオリジナルトリックであるラウンド・ザ・ワールドまで完璧に決めるも89.57とスコアアップは僅か0.67にとどまり暫定2位に浮上したがこれには本人も納得が行っていない様子。

ラスト3本目でどのようなアップデートを見せるか。

[3本目]

暫定首位のダニー・レオンはさらに後続にプレッシャーをかけるべく構成をアップデートして挑んだモヒカンレールでのバックサイド270ボードスライドを狙うもメイクならず。

2本目で良いリズムを掴んだか、スコアアップに成功したのはデンマークの新鋭、ヴィクトル・ソルムンド

前半は2本目と同じ構成、だがパワーと高さがよりキックフリップインディでは画面からフレームアウトしてまうほどの高さに。
コーナーでフロントサイドスミスグラインドを流すアップデートなど89.36大幅にスコアアップし暫定3位につけた。

逆転優勝を狙う全大会王者のギャビン・ボットガーはジャッジに「もう一度よく見ろ」と言わんばかりの2本目と同じ構成だがキックフリップバックサイド360トランスファーを完全に超え切るなど全ての完成度を上げてきた印象でフルメイク。
しかし89.42とまさかのスコアダウンしこれには会場も異様な雰囲気となった。

準決勝首位通過のテイト・カリューも逆転優勝を狙う。

クウォーターアールで高さのあるバックサイド540テールグラブを皮切りに、ハイエアーでのスタイルを入れたヒップオーバーのステルフィッシュグラブ、キックフリップインディグラブボディバリアルと繋ぎスピードに乗ったフロントサイドノーズグラインド、テールブラントスライド、ラストのハードフリップインディグラブという高難易度のトリックまで完璧にメイク。

ラストラン後に約束していたのか観客席まで行きファンにデッキをプレゼントするあたりがテイトの人の良さが垣間見えた。

スコアに期待が持てたが、83.46と伸びず。
ラストトリックがインタイムでさらに決めていたらと悔やまれる結果に。

この瞬間にスペインのベテラン、ダニー・レオンの優勝が決まった。


[リザルト]

優勝: ダニー・レオン(スペイン) 90.13
2位: ギャビン・ボッテガー(アメリカ)89.57
3位: ヴィクター・ソルムンド(デンマーク)89.36
4位: キーラン・ウーリー(オーストラリア)89.21
5位: ペドロ・キンタス(ブラジル)88.56
6位: テイト・カリュー(アメリカ)87.72
7位: ハンプス・ウィンベルグ(スウェーデン)86.22
8位: アレックス・サージェント(イタリア)72.18


最近のパーク男子とは異なる顔ぶれが決勝に残ったあたり非常に実力が拮抗していることが理解できる。
今回の男子決勝は明確にジャッジ基準の差が見受けられなかった。
強いてあげるとすれば、ラウンド状のモヒカンレールでリスキーなトリックを決めたダニーが評価を得たと推測する。
高難易度のエアー回しトリックを放ったギャビンテイトにスコアが伸びなかった。
いずれにせよ強豪国だけでなく世界全体的に見ても非常にハイレベルな争いが大会毎に繰り広げられている。

そして今大会でフェーズ1が終了。
ドバイ大会前が世界ランキング17位だったダニー・レオンも一気に9位までジャンプアップ。
一躍パリ五輪メダル候補に名乗りを上げてきた。
パーク女子もナイア・ロソが優勝しスペイン勢がアベック優勝となりスペインのパーク種目の成長ぶりには今後も要注目だ。

熾烈な国内出場枠争いを繰り広げているアメリカはギャビン・ボットガーが世界ランキング1位に、今大会出場しなかったジャガー・イートンが世界ランキング2位、テイト・カリューが世界ランキング4位につけた。
追いかけるトム・シャーが世界ランキング7位で同国4番手だが3番手のテイト・カリューまで約2万7千ポイントとフェーズ2からのポイント配分を考えると一発でひっくり返せる可能性も。
日本の永原 悠路も今大会終了時点で世界ランキング13位と好位置に付けて日本人では唯一フェーズ2へ進出。
パリ五輪出場に期待がさらに高まった。
東京五輪にも出場したバーチカルのレジェンド、ルーン・グリフバーグがコーチを務めるデンマークの新鋭、ヴィクトル・ソルムンドも今大会で一気に世界ランキング16位とパリ五輪出場圏内に入った。
ちなみに、コーチのルーン・グリフバーグ自身も世界ランキング27位と出場圏内にも届く位置につけフェーズ2へも進出が決まっている。

今回準決勝で敗退した、ブラジルのオーグスト・アキオペドロ・バロス、さらにはルイジ・チニといった実力者にアメリカのジャガー・イートンとパリ五輪本番までの駆け引きなども目が離せないパークスタイル男子は非常に面白い展開を見せている。

東京2020オリンピックを境にますます注目を集めるコンペティションシーン。 それらを横目に変わらず進化し続けるストリートシーン。 CURRENT編集部では両シーンがクロスオーバーし、加速する近代スケートボードを独自の目線で情報をお伝えしていきます。
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