2023年02月05日 世界選手権UAE ストリート女子決勝 | CURRENT

2023年02月05日 世界選手権UAE ストリート女子決勝

| 2023.02.13
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23年シーズン第1戦目となるパリ五輪予選、世界選手権 ストリート女子決勝がUAEで開催、2023年度の最初の世界女王が決定した。

セミファイナルで優勝候補の一人、女子のベストトリック世界最高得点を持つ織田 夢海がランスコアを出せず9位とまさかの準決勝で敗退する波乱が起きる今大会。

世界各国のライダーの実力が拮抗する中、決勝に進んだ8名は国際大会決勝常連のライッサ、パメラらに加え持ち前の手足の長さを活かした滑りで世界の上位に上がってきたガブリエラのブラジル勢。

現在世界ランキング上位独占の日本から赤間、西矢、中山が。

目下成長中のオーストラリアのクロエら要注目に、国際大会では上位常連だった本場アメリカから唯一のファイナリストとなったページの8名で決勝が行われた。

表彰台のライダーが注目をされる国際大会だが、一つの順位がパリ五輪出場への獲得ポイントに大きく影響するという観点を知った上でこれからの五輪予選大会をより面白く観戦することが出来るのでここに筆者は伝えたい。


[ 女子ファイナルは00:00:00〜1:20:00 ]

[RUN]

45秒間で技数をどれだけ繋げられるか、さらにその技の難易度により採点されるランセクション。
2回のトライで良い方のスコアが1本必ず採用されるルールとなり、東京2020五輪から大きく変更されたルールの一つ。

スピードクイーンのパメラは1本目の序盤でミスし、2本目にかけたがここでも精細をかき得点が伸ばせない。
ガブリエラも力強いスピードある滑りを見せるが要所でミスをし7位。

中山は1本目で数トリックをミス、2本目に修正をかけたかったがミスを連発してしまい本来の点数には程遠い結果に。
ライッサは右手の怪我の影響かいつもの明るい振る舞いは見られず、1本目をフルメイクも83.32の5位。

アメリカのページは持ち技を見事フルメイクで4位につけた。
赤間は1本目で得意のバーレーをミスしプレッシャーのかかる中2本目を見事フルメイク84.49と3位につける。

次世代の注目株、オーストラリアのクロエが準決勝からの勢いそのままに見事なランで2位と好位置に。
西矢は終始リラックスムードで本来の持ち味を発揮し見事フルメイクの86.81のビッグスコアを出し首位でベストトリックへ挑む。

-ランスコアがマスト採用となったルールにより大きく明暗が分かれる結果となった-

一本目のミスによりプレッシャーのかかる2本目で見事修正したライダーやオリンピック予選では決勝の順位一つで獲得ポイントが大きく変わるので、フルメイクでなくても最後まで加点をし続ける滑りが今後獲得ポイントを伸ばす要素になると感じた。

「ベストトリック」

5回の試技のうち2本の良い得点が採用される。

1本目は「ラン」の影響が懸念された、中山が得意のフロントサイドKグラインドをダウンレールで、ライッサは唯一の回し技でダウンレールに入りフリップフロントボードスライドを決めページはスイッチバックボードスライド、赤間は持ち技のダウンレッジでフロント180ノーズピックグラインドを決め4名がスコアを残した。

2本目でスコアを揃えてアドバンテージにしたい中山、ライッサ、赤間はミス。
1本目ではほぼ成功に近い形でミスしたクロエが、ビッグステアでフロントサイドフリップを完璧に成功させ82.31のハイスコアを叩き出した。
パメラはスピードを活かしバンクから大きく飛び出しビッグレッジでの5050グラインドを決め会場を大きく沸かし83.14のハイスコア獲得。
同じブラジル勢のマゼットも1本目のミスを見事修正しダウンレッジでバックサイドスミスグラインドを決める。
西矢はバンクtoレッジでバックサイドKグラインドからノーリーヒールフリップを完璧にメイクし84.05をマーク。
2本目で唯一スコアを揃えたページがこの時点で首位に立ち後半戦を引っ張る形に。


大きく勝負を左右することになった3本目は赤間は持ち技のバーレーグラインドをダウンレールで決め、クロエはビッグステアでスイッチフリップを決め83.92、西矢は得意のダウンレールでビッグスピンフロントボードスライドを決め2位につける。
ライッサはフリップバックサイドリップスライドを完璧に決め87.22のビッグスコアでクロエを上回り首位に立った。

4本目は中山が2本目から果敢に挑み続けたフロントノーズブラントをダウンレールで決め83.39とスコアを揃え最終トライに望みをつなぐ。
赤間もバンクtoビッグレッジでバーレーグラインドを、ページはダウンレールでスイッチフロントボードスライドをそれぞれ決めるもスコアは伸びず。
パメラ、ガブリエラはそれぞれ3本目と同じ技をトライするもミス、西矢もライッサを上回るには勝負をか蹴なければいけない状況で360フリップフロントボードスライドにトライするもミスし最終トライ勝負に。
首位のライッサは更なるスコアアップを狙ったビッグトリックもミス。
勝負強さを見せたのはオーストラリアの新星クロエだ。
バンクtoレッジでバックサイドKグラインドノーリーフリップアウトを見事一発で成功83.53とスコアを伸ばした。

4本目終了時点で1位ライッサ、2位クロエ、3位西矢と続き、4位赤間までの得点差が3.67と最終トライで入れ替わる可能性を大いに残したまま最終トライへ。

勝負が決まる最終5本目。
果敢にハイスピードハイエアーのトリックでスコアを狙ったブラジルのパメラだったがスコアを揃えられず126.52と8位フィニッシュ。
アメリカのページはスコアを揃えるも持ち技のスコアにより211.71の7位、今後この経験を活かしどのように技の難易度を上げてくるのか楽しみな注目ライダーと言えるでしょう。
ガブリエラは3本目からトライし続けたダウンレッジでのバックサイドテールスライドを5本目に見事成功し勝負強さを見せスコアを揃え、221.71で6位。
中山は勝負をかけたダウンレールでのバックサイドノーズブラントに挑戦もミス、「ラン」のスコアに伸び悩み240.795位で今大会を終えた。
赤間はトップスリーを狙い、ビッグステアでフロントサイドビッグスピンに挑むが惜しくもミスし251.91の昨年のローマでの世界選手権と同じ4位でフィニッシュ。
優勝するには決めないといけない状況の西矢は最終トライに4本目と同じ高難易度の技にトライするも惜しくも決めきれず3位。
2.07ポイントで首位ライッサを追うクロエは最終トライでスイッチフロントフリップをビッグステアでトライするも惜しくもミス、これを決めれば優勝の可能性もあったのもそうですがこのトリックが果たして何点出ていたのかという期待感と今後の可能性を大きく感じさせる2位フィニッシュだと言える。
高難易度の技を終始安定して決め続けたライッサが貫禄を見せ優勝に輝いた。

決勝でもランがマストで得点採用とルールに涙をのんだが優勝候補の一人中山 楓奈だ。
1本目のミスを修正しようと意気込んだが2本目で修正できずランのスコアが伸び悩みベストトリックはスコアを揃えるもトップ3には入れず。
ライッサは終始落ち着いた滑りとリアクションで貫禄すら感じさせ堂々の優勝。いつものお祭りさながらの明るい振る舞いは今大会では見られなかったがその先にパリ五輪本大会を見据えた冷静な闘い運びだったように写った。
西矢も持ち味のリラックスした滑りを終始披露、最後に勝負をかけた大技に挑戦するも決めきれず3位という結果に。
準決勝で敗退した上村や中島と同世代で「次の世代」と期待されていたオーストラリアのクロエが2位に入る結果に。
WOMESではダウンレッジやステアで回しトリックをやるライダーが少ない中、フロントフリップを2回目で決め、さらにはスイッチフロントフリップもトライし惜しくも成功とはならなかったが今後間違いなく世界のトップ争いの中心ライダーの一人になる事を確信させる大会となった。

2023年度シーズンの第1戦目となった今大会、パリ五輪本大会までまだまだ時間がある中「次の世代」がどこまで伸ばしてくるのか。
今後、国際大会で決勝に残るライダーが目まぐるしく変わる可能性も大いにある。
一戦一戦の獲得ポイントで世界ランキングも大きく入れ替わるためここからパリ五輪予選は見逃すことが出来ない。

東京2020オリンピックを境にますます注目を集めるコンペティションシーン。 それらを横目に変わらず進化し続けるストリートシーン。 CURRENT編集部では両シーンがクロスオーバーし、加速する近代スケートボードを独自の目線で情報をお伝えしていきます。
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