TAMPA PRO 2025 FINALS
アメリカ、フロリダ州タンパにて現地時間4月6日(日)に31回目となる「TAMPA PRO 2025 FINALS」が開催。
日本からは白井空良、根附海龍。2023年、2024年とTAMPA PRO2連覇中の堀米雄斗が参戦。史上初の3連覇がかかる大注目の大会となった。

白井空良は前日の予選で1位、ヴィンセント・ミルーは予選2位になると、準決勝をパスして決勝へと進むことができるTAMPA PRO独自の「ストリートショッツ」により決勝へ進出。その後準決勝から決勝へと勝ち上がった10名のスケーターと2名の計12名のスケーターで決勝が行われた。
[1本目]
ケルビン・ホフラー(ブラジル)は大会出場常連の強者。しかし3トリックをミスするなど流れを掴めず。
ジェイク・イラルディ(アメリカ)は中盤でビッグスピンバックサイドテールスライドをミスするもバックサイドエアなどパーク全体を使い1本目を終えた。筆者が注目したのはランの中盤で見せたフロントサイド180キックフリップ。1997年と1998年に2連覇したアンドリュー・レイノルズを彷彿させるほどのスタイルを出していた。実況も会場で「レイノルズ」と呟くほどの完成度であった。
アンジェロ・カロ(ペルー)はハリケーングラインドにてトラックが掛からずフロントサイドボードスライドになるシーンもあったがラストにビガースピンキックフリップボードスライドをメイクしノーミスのラン。巨大なオーリーからのスライドやビックスピン回転に自信を持った滑りであると感じるランであった。
リチャード・ターリー(スロバキア)は先月マカオで行われたFISE BOTC2025の準優勝者。ヒールフリップ系を得意とするもヒールフリップインフロントサイドテールスライドをメイク出来ず。得意技でのミスは集中力を切らしてしまう可能性も。
ミッキー・パパ(カナダ)は回しトリックインのスライドやグラインドを繰り出すもレールトリックをミス。カナダ、バンクーバーからロサンゼルスに拠点を移した真の努力家。何度も同じトリックを練習している姿をロサンゼルスのパークにて見かけたことがあるため、フルメイクのランを期待したい。
ジュリアン・クリスティアンセン(アメリカ)はノーリーとスイッチトリックのみでランを組み立てたがスイッチフロントサイド360オーリーなどが乗れずであった。ノーリーとスイッチトリックのみでランを構成してきたのはスタイルとこだわりの強い表れで期待が膨らんだ。
堀米雄斗(日本)はノーリーバックサイドノーズブラント、スイッチバックサイド180ノーズグラインド180アウトなど安定した滑りでTAMPA2連覇中の貫禄の滑りでノーミスのランをメイク。3連覇への期待の高まる決勝最初の大拍手が観客から沸き起こった。
ジャンカルロス・ゴンザレス(コロンビア)はハイスピードから繰り出すノーズブラントスライドやキャブ270ノーズスライドをメイクするもラストトリックをミス。東京オリンピックで見せたスタイルのある滑りはいつみても惹かれる。
フェリペ・グスタボ(ブラジル)はマニュアルトリックを組み立てるも決まらず。マニュアルトリックをランに組み込んでくるスケーターは少ないためマニュアルトリックが決まれば歓声も沸き流れも掴めてくるのでは。
根附海龍(日本)はヒールフリップバックサイドブラントスライドなどをメイクするもラストトリックにてミス。2019年TAMPA AMA優勝から2度のTAMPA PRO 8位の経験をもとに表彰台を狙ったフルメイクランへと残り2本のランに期待したい。
ヴィンセント・ミルー(フランス)は最初のトリックをミスするも、キックフリップシフティなどを披露。スポンサーの紹介アナウンス時には日本人には聞き馴染みのある「トヨタ」とアナウンスがあって筆者も驚きであった。
白井空良(日本)はドジャース大谷翔平のユニフォームを着用してランへ。フロント180スイッチクルックドグラインド、シュガーケイン、270キャブキックフリップインのバックサイドリップスライドをメイクしノーミスのラン。サムライポーズのパフォーマンスはなかったもののフルメイクでのラン完遂は予選1位の貫禄を早くもラン1本目から見せた。
1本目を終えてアンジェロ・カロ、堀米雄斗、白井空良がノーミスのランにて流れに乗った。2人はさらに高難易度のトリックを組み込んでくるのか。もしくは他の9名はリカバリーを見せてフルメイクのランを完成させるスケーターが増えてくるのか楽しみな2本目のランへと続く。

[2本目]
ケルビン・ホフラーは好調な滑りだしもキックフリップバックサイドボードスライドをミス。彼にとってメイク率の高い見慣れた技のミスは痛手となった。
ジェイク・イラルディはラストトリックまで好調な滑りもラストでキックフリップバックサイドスミスグラインドを惜しくもメイクならず。
アンジェロ・カロはさらにフルメイクにてランを完遂。前日のベストトリック賞にも輝いた彼の勢いはこの日も健在であったと言える。
リチャード・ターリーはハーフキャブノーズスライド270アウトをミスするなど流れに乗れず、3本目に賭けたいところ。
ミッキー・パパはラストトリックにてレーザーヒールフリップバックサイドリップスライドを惜しくもメイクならず。
ジュリアン・クリスティアンセンは2本目も流れに乗れず得意のノーリートリックが決まらず。
堀米雄斗はさらに得点を伸ばすため1本目のランとトリックを変えたノーリーヒールバックサイドノーズスライドが決まらず。
ジャンカルロス・ゴンザレスは3トリック目に乗れず、3本目のランへと体力を温存。60秒のランが3本あるため体力の温存、分配もタンパならではと感じた。
フェリペ・ガスタボは1本目同様、マニュアルトリックが乗れなかった。
根附海龍はラン途中にてヒールフリップインバックサイドブラントスライドが惜しくも乗れず。
ヴィンセント・ミルーはフロントサイドヒールフリップやカーブにてキックフリップバックサイドリップスライドをメイクするもクオータートリックとラストトリックがメイクならず。
白井空良は惜しくもノーリーヒールフリップインフロントサイドテールスライドが決まらず。
2本目はアンジェロ・カロがフルメイクを決めた。同日の準決勝にてもランを行い、さらには決勝にてもランが続くと体力の消耗も否めない。各スケーターが体力を振り絞り渾身のフルメイクランが行えるか期待の膨らむ勝負の3本目のランへ。

[3本目]
ケルビン・ホフラーはパワーある滑りでラストトリックまで完遂。途中のクオーターでスピードが緩まってしまったのが悔やまれる。
ジェイク・イラルディはオーバータイムにてスイッチトレフリップフロントサイドリップスライドをレールにてメイクし会場を沸かせた。3度のトライにも関わらず、このトリックは堀米雄斗以外に見たことがあまりなかったため筆者もとても驚いた。
アンジェロ・カロもビガースピンキックフリップフロントサイドボードスライドをオーバータイムでメイクし、さらに会場を沸かせたのであった。
リチャード・ターリーは集中した滑りで3本目にてフルメイクのラン。得意のヒールフリップ系を随所にメイクした。
ミッキー・パパはラストトリックにてレーザーヒールフリップバックサイドリップスライドをメイク。フルメイクのランにて上位に食い込めるランを披露。
ジュリアン・クリスティアンセンはマニュアルで惜しくもウィールが地面に付くがノーリーヒールフリップ回転のトリックを多くメイクした。
堀米雄斗はレールにてノーリーフロントサイド270フロントサイドボードスライドが惜しくも決まらず。
ジャンカルロス・ゴンザレスは2本目同様のトリックが決まらなかったもののスピードのある滑りを見せた。
フェリペ・ガスタボは惜しくもバックサイドノーズグラインドにつまってメイクできなかったが得意のマニュアルトリックを立て続けにメイクし観客を沸かせた。
根附海龍は1本目同様安定したランを披露。ラストトリックこそ決まらなかったものの、オーバータイムにてヒールフリップバックサイドテールスライドビッグスピンアウトをメイクした。
ヴィンセント・ミルーは左手のサポーター箇所を痛めた仕草を見せたが、ランに戻りハイスピードのバックサイドスミスグラインドtoテールスライドで大いに観客を沸かせた。
白井空良は惜しくもフロンサイド180スイッチクルックドグラインドが決まらなかった。
12名のスケーターが渾身のトリックを披露し観客を沸かせる、まさにTAMPA PROの名にふさわしい60秒のラン、3本を終えた。

フルメイクのランを行って表彰台へと残ったのは白井空良、アンジェロ・カロ、堀米雄斗の3人となった。

まず名前を呼ばれたアンジェロ・カロが3位なり、5月に行われるSLS サンタモニカのワイルドカードの切符を手にした。

2位に堀米雄斗が呼ばれ、惜しくも史上初の3連覇には届かなかった。
そして悲願の初優勝を飾った白井空良のアナウンスがあり、第31回目のTAMPA PRO 2025は幕を閉じた。
以下最終順位
1位 白井空良(日本)
2位 堀米雄斗(日本)
3位 アンジェロ・カロ(ペルー)
4位 根附海龍(日本)
5位 ミッキー・パパ(カナダ)
6位 ジェイク・イラルディ(アメリカ)
7位 ジャンカルロス・ゴンザレス(コロンビア)
8位 ケルビン・ホフラー(ブラジル)
9位 リチャード・ターリー(スロバキア)
10位 フェリペ・ガスタボ(ブラジル)
11位 ヴィンセント・ミルー(フランス)
12位 ジュリアン・クリスティアンセン(アメリカ)
惜しくもTAMPA初の日本人表彰台独占には一歩届かなかったが見どころ盛りだくさんの素晴らしい大会となった。
表彰台へ登った3人は60秒にてフルメイクのラン。ストリートリーグでの45秒のランとは違い後半になるにつれ体力とトリックチョイスが鍵となる。会場独特の観客とセクションとの距離も近く、パーク全体をいかに使ってランを行えるかも順位へと影響してくる。他にもオーバータイムでの再トライにてビックトリックのメイクもこの大会ならではの見どころとも言えた。
昨年11月に東京で行われたストリートリーグ決勝の接戦を思い出すほどの堀米雄斗(日本)、白井空良(日本)のランはまさにどちらが優勝してもおかしくなかった。
引き続き来年も行われるTAMPA PROに注目していきたい。
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