SLS San Diego 2024 男子決勝はホームで初優勝を収めたブレイデン・ホーバン!
プロツアー第2戦目となるStreet Leauge San Diego。
男子決勝はサンディエゴ出身のブレイデン・ホーバン(アメリカ)、クリス・ジョスリン(アメリカ)、グスタホ・リベイロ(ポルトガル)、ケガから久しぶりに復帰したケルビン・ホフラー(ブラジル)がノックアウトラウンドを勝ち上り、ノックアウトラウンドで勝ち残れなかった中からスコアの上位2人にファイナル進出の権利が与えられるラストチャンスを掴み取ったフェリペ・グスタホとジオバンニ・ヴィアンナのブラジルコンビが決勝へと勝ち進んだ。
戦前のオッズでもトップ1、2で先日のタンパプロ2024で2連覇を達成し勢いに乗っていた日本の堀米 雄斗とSLS最多優勝記録を保持するナイジャ・ヒューストン(アメリカ)がまさかのノックアウトラウンドで姿を消す波乱となった。
「ライン セクション」
ライン2本目
まず魅せたのはブラジルのフェリペ・グスタホ。
チェーンオーバーバンクインとなるノーリーキックフリップでスタートするとキンクレッジの2段目をキックフリップバックサイドクルックドグラインドで上り、完璧なフロントサイドキックフリップで繋いで行くとラストのギャップ&レールオーバーのスイッチキックフリップまでパーフェクトラン、8.8の高得点。
地元ファンの大声援をバックにスタートしたアメリカのブレイデン・ホーバンも独特のストリートシューティングのような動きでフルメイクを見せフェリペに続く8.7とハイスコアをマークした。
1本目で頭一つ抜き出たのが久しぶりの復帰戦となったブラジルのケルビン・ホフラーだ。
フェイキーキャバレリアルボードスライドでスタートするとキンクレッジではスイッチフロントサイドテールスライドで上り270アウト、キックフリップフロントサイドブラントスライドなど筆者には久しぶりの実戦で一つ一つ確かめるようにトリックを繰り出しているように映った。
ラストトリックのダウンレールでのキックフリップバックサイドテールスライドまで完璧に決めファイナル最初の9clubを獲得し一歩リードした。
ライン2本目
2本目で唯一スコアアップを果たしたのがポルトガルのグスタホ・リベイロ。
キックフリップフロントサイドボードスライドでスタートしていくとバックサイドクルックドグラインドノーリーキックフリップアウト、キンクレッジの2段目をバックサイドスミスグラインドで上り返しでキックフリップバックサイドノーズスライドを全流しするなどパーフェクトランを披露しケルビンを上回る9.1で首位に立った。
負けじとケルビンもダウンレールでバックサイドシュガーケーンなど更なるアップデートを試みたがスコアは1本目と同様の9.0に留まった。
首位グスタホから4位ブレイデンまで僅か0.4ポイント差と混戦状態でシングルトリックセクションへ。
「シングルトリック セクション」
1トライ目
ここでハイスコアをマークしたのがブラジルのジオバンニ・ヴィアンナ。
ダウンレールでフェイキーキャバレリアルからブラントスライドを掛けるという超高難易度トリックでいきなり9.1と9clubをマークし弾みをつけた。
簡単そうにやっているがキャバレリアルでレールオーバーすること自体が超人的なポップ力を必要とする上にそれをコントロールしてスライドトリックで最も難易度の高いトリックであるブラントスライドを掛けられるところから、このトリックとポップ力に非常に自信があるのだろう。
力学的にも非常にデッキを抑え込むのが難しいトリックという事も付け加えたい。
続くブレイデンがキンクレッジの下段部分までトランスファーするキックフリップバックサイドクルックドグラインドを決め8.8、フェリペ・グスタホがスイッチキックフリップをチェーン&バンクオーバーで決め8.5とスコアメイクに成功した。
2トライ目
ここでもジオバンニがダウンレールでキャバレリアルの動きから今度はフロントサイドノーズスライドとこちらは精密なデッキ&ボディコントロールを要するトリックを決めまたしても9club、9.0をマークし流れを完全に自らのものにしたかに思えた。
しかし、流れを引き寄せたのはジオバンニだけではなかった。
地元開催で気合の入っているブレイデン・ホーバンが今度はキンクレッジで下段までトランスファーするキックフリップフロントサイドノーズグラインドを決め、こちらも9clubの9.0をマークし流れを掴んだ。
フェリペ・グスタホもレールオーバーのフロントサイドキックフリップを決め8.8をマーク。
復活優勝を狙うケルビン・ホフラーもダウンレールでハーフキャブノーズグラインドフロントサイド80アウトを決め9.1を叩き出しラインセクションでの流れを引き戻しにかかった。
そしてもう一人ラインセクションでの流れを引き戻したいポルトガルのグスタホ・リベイロもダウンレールでフロントサイドオーバークルックドグラインドノーリーキックフリップアウトを決めたが、スコアは8.9。
これには会場で観戦している観客からもブーイングが起こった。
流石にこれまでのスコアの流れと傾向からもグスタホのスコアは9clubを上回ると誰もが思ったが結果は8.9だった。
決して低いスコアではないがこの後のトライにもメンタル的に影響しそうだと感じた。
3トライ目
ここまで思うようにトリックが決まらなかったビッグトリッカー、クリス・ジョスリン(アメリカ)がようやく会場を沸かす時間がきた。
ダウンレール横にあるかなり幅のあるステアをバックサイドビッグスピンフリップで飛び越えた。
これには会場のボルテージも最高潮に。
スコアは9.0と9clubをマークした。
「魅せて勝つ」彼のスタイルを象徴するトリックだ。
ここ4つのスコアを揃えるチャンスのあるライダーはこの後のトライで他のライダーにプレッシャーを掛けられれば非常に有利になる3トライ目。
まずトライするのはここまで9clubを2つ揃えているジオバンニ。
フェイキーでレールをトランスファーするノーズブラントという超人的コントロール&バランストリックに挑むもミスしてしまう。
続く暫定首位を走る地元のブレイデン・ホーバン。
チェーン&バンクを全超えするインポッシブルという後ろ足に巻きつかせるようにデッキを360度回す、昨今のコンペディションシーンでは彼しかやらないまさにスタイルマターなトリックを完璧に決めて見せた。
スコアはもちろん9club、9.0とさらに後続を突き放す結果に。
なんとかくらいつきたいスコアをフルメイクしているフェリペもチェーン&バンク全超えのスイッチフロントサイドキックフリップに挑んだがこれを決めきれず。
ここをスコアメイクしないと後がなくなるケルビンもキャバレリアルバックサイドテールスライドをダウンレールで決め8.8と優勝へ望みを繋いだ。
優勝へ望みをつなぎたいグスタホもダウンレールでビガースピンフロントサイドボードスライドにトライしたが決まらず。
ブレイデン有利のまま後半戦へ。
4トライ目
先ほどのメイクで完全に目覚めたビッグトリッカーのジョスリン。
今度はチェーン&バンク全超えのノーリーフロントサイドヒールフリップを決め、さらに会場を沸かせた。
ノーリーというトリック自体が距離を出すのが難しい上にフロントサイド側、つまり背中側に回るので着地点が見えない中ヒールフリップというデッキも回してしまうという非常にリスクの高さと度胸が必要となるトリックを1発で決めてしまうところが彼の持ち味だ。
スコアも9.1と2本続けて9clubをマークした。
優勝戦線に食い込みたいジオバンニは3本目と同じトリックをミスし苦しい展開に。
流れを完全に掴んだブレイデンはダメ押しを決めにいったダウンレールでフロントサイドブラントスライドキックフリップアウトを狙うも惜しくも決めきれなかった。
首位浮上に9.5ポイントが必要なフェリペも3トライ目と同じスイッチフロントサイドキックフリップにトライしたが決まらず最終トライに全てを掛けることに。
首位を射程圏内に捉え、8.7ポイントが必要なケルビンも得意のハーフキャブノーズスライドからバックサイドテールスライドへの掛け替えをダウンレールでトライするも掛け替えの際にすっぽ抜けてしまいミス。
頭を強打し、ひやっとする落ち方だったが大丈夫だっだが最終トライに良くないイメージが残ってしまう。
なんとか優勝戦線に踏みとどまりたいグスタホ・リベイロはビガースピンフリップフロントサイドボードスライドフェイキーを見事リカバリー。
9.0をマークし最終トライを残し暫定2位に浮上。
5トライ目
目まぐるしく順位が入れ替わる可能性を残した最終トライ。
2.4ポイントで2位にできるクリス・ジョスリンはレール&ギャップオーバーのノーリーフロントサイド360ヒールフリップを狙うも惜しくも決めきれず6位で終えた。
首位には届かないが2.3ポイントで2位を狙えるジオバンニ・ヴィアンナはダウンレールでキャバレリアルバックサイドテールスライドを決め8.6をマークし暫定2位に浮上した。
首位に立つには9.5、2位には7.4ポイント必要なフェリペは3回目のトライとなる全超えのスイッチフロントサイドキックフリップを狙うも決めきれず5位フィニッシュとなった。
決めれば十分逆転首位の可能性があるケルビンだったがやはり4トライ目のイメージが残ってしまったかこちらも決めきれず悔しい4位と復活優勝とはならなかった。
4トライ目でハイスコアをメイクし首位まで8.6ポイントと迫ったグスタホ・リベイロ。
彼の持ち技なら十分に逆転の可能性がある中チョイスしたトリックはキンクレッジでのキックフリップバックサイドノーズスライドノーリーヒールアウトだ。
しかしこれが決まらず。
同時にこの瞬間、ブレイデン・ホーバンが地元開催での嬉しい初優勝を決めた。
最終結果
優勝 : ブレイデン・ホーバン(アメリカ) 35.5
2位 : ジオバンニ・ヴィアンナ(ブラジル)33.4
3位 : グスタホ・リベイロ(ポルトガル)27.0
4位 : ケルビン・ホフラー(ブラジル)26.9
5位 : フェリペ・グスタホ(ブラジル)26.1
6位 : クリス・ジョスリン(アメリカ)24.7
ブレイデン・ホーバンが地元開催で初優勝を飾るというドラマで幕を閉じたサンディエゴ大会。
ブレイデンのスタイルで国際大会を制する事が出来るということにも大きな意味があったように筆者は感じた今大会だった。
彼のトリックチョイスはコンペディターライダーとは異彩を放つものばかりでどちらかといえばストリート映像で見かけるようなトリックや滑りのスタイルだ。
難易度の高いトリックはもちろん評価されるのは当然だがスタイルやセクションでのトリックチョイス次第でも十分に世界王者になる可能性を彼は世界中に知らしめたと言えるだろう。
スポンサーのウェアを着る事が多いのだが(当然のこと)彼はエメリカというシューズブランドのチームメイトでもあるレオ・ロメロがやっているバンドのTシャツに自身のスポンサーであるドリンクメーカーのロックスターのワッペンを袖に貼り付けて出場したことも彼のストリートライダーとしてのこだわりが垣間見えた。
しかもそれをOKとするあたりも彼に対してのスポンサーのリスペクトが伺える。
ブレイでんの話題ばかりを話してしまったが今回世界中に彼が世界1になったインパクトは非常に大きな影響を与えると感じている。
女子同様、トリックのスコアレンジにも男子も変化が見られた。
男子は今回ナイジャ・ヒューストンや堀米 雄斗がノックアウトラウンドで敗退するなどファイナリストが誰になってもおかしくない非常に拮抗したレベルになっていると感じた。
次世代からはブラジルのフェリペ・モタや日本の根附 海龍、今大会には参戦していないが同じく日本の池田 大暉など新勢力が虎視眈々と狙うが常連組もまだまだトップレベルとして君臨し世代が入り混じった誰もが読めない戦いが続くだろう。
ここにブレイデンのようなスタイルマターなライダーがトップ戦線に加わり、非常に面白い勢力図が出来上がってきており今後もSLSをはじめ世界主要大会が面白くなること間違い無い。
あらゆるところに注目する要素があり、それは多様性も含めて今後の展開が楽しみでしかない。
●今日 ○イベント開催日
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