2024 SLS開幕戦 パリ大会 女子決勝 !! | CURRENT

2024 SLS開幕戦 パリ大会 女子決勝 !!

| 2024.02.26
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ついに2024年シーズンが開幕したストリートリーグ(SLS)。
開幕戦はフランスのパリからスタート。
既に2024年シーズンの全シーズンのスケジュールが発表となり、今シーズンも世界中で盛り上がること間違いなし。
賞金総額も大幅にアップしておりSLSの規模の拡大とアップグレードが伺えた。

ノックアウトラウンドを勝ち抜いた6名により決勝戦を行う。
残念ながらノックアウトラウンドに出場予定だった日本の上村 葵は、日本での練習中に足首を負傷してしまい今大会は欠場となった。

女子決勝に勝ち上がったのは、優勝候補筆頭、ブラジルのライッサ・レアウ、オーストラリアのクロエ・コベル、残りの4名はいずれも日本から、西矢 椛織田 夢海中山 楓奈赤間 凛音というラインナップとなった。

フォーマットはラインセクション2トライ、シングルトリックセクション5トライ、合計7トライの中からハイスコア4本の合計点により各ライダーの順位が決まる。



「ラインセクション」
1本目:
まずトップバッターで勢いよく飛び出したのがクロエだ。
ギャップオーバーのキックフリップでスタートすると勢いそのままに次々にトリックを繋いでいき、バンクトゥレールでフロントサイドノーズグラインドやフロントサイドキックフリップなどフルメイク。
7.8とハイスコアをマーク。

続いて得意のサスキーグラインドでスタートを切った西矢だが途中のコース上に何かがあったのか、足とウィールがスリップしフロントサイド5-0グラインドトゥフロントサイドショウビットアウトをミス。フルメイクとはならなかった。
続くライッサもスタートからテンポ良く繋ぎ、女子ライダーではコンテストでトライするライダーが少ないトレフリップやバックサイドノーズスライドビッグスピンアウトなどを完璧にメイク。しかし得意なレールでのバックサイドスミスグラインドでミスをし、フルメイクとはならなかったが6.7とハイスコアを残した。


2本目:
クロエがレールでのフロントサイドノーズグラインドからキックフリップフロントサイドボードスライドに変えるなど1本目から構成をアップデートしフルメイク。スコアも8.0と伸ばした。
もう一人2本目でスコアアップをしたのは中山だ。


ハイスピードなバックサイドリップスライドでスタートし、フロントサイドクルックドグラインドも完璧にメイクするなどしっかりと修正しフルメイク。実況も「シグニチャートリック」と言うほどとなった彼女の代名詞トリックを、1本目では失敗したが2本目で完璧に決め切った。
ここで6.0をマーク。この時点でトップのクロエとの差を2とし、逆転を賭け「シングルトリック」セクションへ。




「シングルトリックセクション」
ラインセクションでの順位にスタート順が変動し、赤間織田西矢中山ライッサクロエの順でのトライとなる。

1トライ目:
赤間織田とテンポ良くメイクしていく中、西矢がスピードに乗ったバックサイドビッグスピンフロントサイドボードスライドを決め8.0を叩き出した。
この出方を見て、クロエが長いスロープレールでフロントサイド50-50グラインドキックフリップアウトを決め8.3をマークするも本人にとっては想定内と言ったところか、大きなリアクションは見られなかった。

2トライ目:
間違いなく今大会のターニングポイントとなったのがこの2トライ目。

勝負に出たのが織田だ。
1トライ目にキックフリップフロントサイドボードスライドで好感触を得たのか、現在SLS女子部門では世界最高得点をマークしているキックフリップフロントサイドフィーブルグラインドを1発で仕留めた。

この日初の9CLUB、9.0をマークし一気にジャンプアップ。
1トライ目で後頭部を強打し心配された中山もロングスロープレールで代名詞トリック、フロントサイドクルックドグラインドを完璧に決め8.8のハイスコア。
続くライッサもダウンレールでフロントサイドブラントスライドショウビットアウトという非常に高難易度のトリックを決め8.5、クロエもギャップでスイッチキックフリップを決め7.4と上位陣がしっかりハイスコアを刻んできた。


2トライ目を終え、暫定トップがクロエ織田赤間中山ライッサ西矢というポジションに。


3トライ目:
勝負に出た赤間がギャップトゥバンクでフロントサイドビッグスピンヒールを狙うも決めきれず。
2トライ目の流れから一気に攻めたい織田もバックサイドクルックドグラインドノーリキックフリップアウトをミスし流れを掴みきれなかった。
そんな中で勝負強さを発揮したのが、オリンピックディフェンディングチャンピオンの西矢だ。

バックサイドクルックドグラインドノーリーヒールフリップアウトを完璧に決めた。
この日2人目となる9CLUBをマークし9.2とハイスコアに。
ライッサはダウンレールでキックフリップフロントサイドボードスライドを難なく決め7.8。
首位を走るクロエは決めきれずスコアメイクできなかった。


この時点で西矢が2位に上がり後半戦へ。


4トライ目:
赤間がギャップトゥバンクでフロントサイドビッグスピンヒールを決めるも、6.9と思ったほどスコアが伸びず、会場からは少しブーイングが起こった。
織田もバックサイドクルックドグラインドノーリーキックフリップアウトを決め8.5のハイスコアをマーク。
一気に首位の座を狙ったライッサもダウンのモヒカンレッジでキックフリップバックサイドリップスライドを狙うも着地でバランスを崩してしまいスコアをメイクできず。
クロエが織田と同じトリックを決め8.5とこれで4つスコアをまとめて唯一の30点代に乗せる。



5トライ目:
ラストトライとなる5トライ目。
レギュレーションで下の順位から順番が入れ替わり、中山ライッサ西矢赤間織田クロエというトライ順だ。
まずは一矢報いたい中山だったが、ダウンレッジでフロントサイドブラントスライドを決めきれず6位フィニッシュとなった。
続くライッサが女王の貫禄を見せつける。

4トライ目でミスしたキックフリップバックサイドリップスライドを完璧に決め、8.8を記録して2位にポジションアップ。
優勝には9.9以上が必要となったため、ここは気負いなくしっかりと自分の出せるスキルを発揮し納得の2位となった。
優勝には9.4が必要、3位表彰台は6.8が必要とどちらも現実的なスコアを必要とした西矢だが、最後もまとめきれず悔しい5位フィニッシュとなった。
赤間は3位表彰台には9.6が必要だったがミス、4位フィニッシュ。
織田は首位に立つには7.1が必要、彼女のスキルなら十分に可能なポイント差だったがギャップでキックフリップを決めるも5.0、最後の勝負トリックにしては少し疑問の残る結果となった。
ウイニングトライとなった、クロエはバンクから飛び出してビッグギャップオーバーのフロントサイドキックフリップにトライしたがミス、会場を大いに沸かした。


この結果、2024年のSLS開幕戦パリ大会は優勝がクロエ・コベル、2位ライッサ・レアウ、3位織田 夢海という結果になった。

最終リザルト

優勝 クロエ・コベル (オーストラリア) 32.2
2位 ライッサ・レアウ(ブラジル)31.2
3位 織田 夢海(日本)30.2
4位 赤間 凛音(日本)23.9
5位 西矢 椛(日本)22.9
6位 中山 楓奈(日本)14.8




オリンピックイヤーでもある今年。
最初の世界戦となった今大会だが昨年と勢力図は同じになった。
急成長したクロエが盤石の強さを発揮し、女王ライッサも安定した強さを発揮。
日本勢は織田の3位が最高位となった。

今大会で気になったのがオリンピックルールではマストで採用されるラインセクションだ。
現在世界のツートップとなるクロエとライッサはいずれもこのセクションで安定したハイスコアが出せる。
対する日本勢の課題としてはこのラインセクションでどこまでプレッシャーをかけられるかが今後の課題となるだろう。
最終トライで7.1で逆転できたが、キックフリップの5.0にとどまった織田も気になった。
何かトラブルが起きたのか、はたまた作戦だったのか。
いずれにせよ彼女の持ち技だとバックサイドテールスライドのバリエーションなどでも十分に7.1以上をマークできそうなトリックは持っていたはず。
こちらも真意は定かではないので今後のオリンピック予選、SLSでのシリーズ戦でどういう戦い方を見せてくるのかが楽しみだ。
オリンピック本番も含めライッサ、クロエの双璧に日本勢がどのように戦っていくのかが来週のオリンピック予選、SLSシリーズ戦と続いていく中で非常に注目ポイントである。

東京2020オリンピックを境にますます注目を集めるコンペティションシーン。 それらを横目に変わらず進化し続けるストリートシーン。 CURRENT編集部では両シーンがクロスオーバーし、加速する近代スケートボードを独自の目線で情報をお伝えしていきます。
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