伝統のコンテスト 29th TAMPA PRO2023 | CURRENT

伝統のコンテスト 29th TAMPA PRO2023

| 2023.03.06
  • google-plus
  • hatena
  • line

アメリカのフロリダ州タンパにあるSkatepark of Tampaが創設30周年を迎え、世界中から支持を得続けている伝統の世界大会、29回目のTAMPA PROが開催。

日本からはこの大会日本人最高位を獲得している池田 大亮、TAMPA PROの登竜門となるTAMPA AMAで2019年チャンピオン根附 海龍、東京五輪王者の堀米 雄斗が参戦。
昨年膝の手術を行いしばらく世界戦から離れていたナイジャ・ヒューストン(アメリカ)が久しぶりにコンテストに復帰。


決勝進出者はTAMPA PROの歴代王者が4名、東京五輪出場者が8名という豪華な顔ぶれが揃った。

ルールは60秒間でどれだけ難易度の高い技を繋げられるかという「ラン」を一人3本ずつ行い、最も良かったスコアが採用される。
さらに、予選1位と2位は「ストレートショッツ」というセミファイナルを飛ばし、いきなり決勝に進出出来るTAMPA PROならではの特別ルールもこの大会の醍醐味の一つだ。
このコンテストの面白い要素として、全ての滑走を終えた後の表彰式にならないと得点も順位もわからないというところだ。
これは観客、視聴者が誰が勝ったかわからずライダーと同じように緊張感を味わえる最近の世界大会ではない昔ながらのコンテスト形式だ。

Skatepark of Tampaは昨今の世界大会のフィールドに比べるとタイトな作りとなり、最近の世界大会では45秒がポピュラーになっているので15秒長い上により多くの技を盛り込む必要があるためこの大会の難しさが伺える。

前段でも述べたがこの大会での日本人の最高位は、池田 大亮が2019年大会で3位表彰台を獲得したのが最高成績でまだ日本人ライダーがチャンピオンに輝いたことがない。

決勝進出者は以下の12名(同滑走順)

・カルロス・リベイロ(ブラジル)
・ヴィンセント・ミルー(フランス)
・ナイジャ・ヒューストン(アメリカ)
・ルイ・ロペス(アメリカ)
・クリス・ジョスリン(アメリカ)
・ジオバンニ・ヴィアンナ(ブラジル)
・ジャガー・イートン(アメリカ)
・ケルビン・ホフラー(ブラジル)
・ジェイミー・フォイ(アメリカ)
・堀米 雄斗(日本)
・アンジェロ・カロ(ペルー)※予選2位 ストレートショッツ
・フェリペ・グスタホ(ブラジル)※予選1位ストレートショッツ

[セミファイナル 0:00:00〜 ファイナル 3:35:08〜]



[1本目]
歴代王者の一人、カルロス・リベイロ(ブラジル)がファイナルのスターターとして滑走。
序盤でミスをそのまま流れを掴めず。
ヴィンセント・ミルー(フランス)はラストトリックまで完璧な滑りを見せたが最後でミスしフルメイクとはならず。
ナイジャ・ヒューストンは中盤でのスイッチヒールフロントリップスライドをダウンレールでミス。
ルイ・ロペス(アメリカ)も中盤でミス。
クリス・ジョスリン(アメリカ)は途中のステアでのフェイキーフルキャブフリップのみの1ミス。
ジオバンニ・ヴィアンナ(ブラジル)も惜しくも1ミスのみ。
ジャガー・イートン(アメリカ)も中盤でミスしフルメイクならず。
百戦錬磨のケルビン・ホフラー(ブラジル)は珍しく自分のタイミングが合わず、中々スタートを切れず。
ようやくスタートを切ったが最初のトリックでミス。
昨年王者のジェイミー・フォイ(アメリカ)はダウンレールで引っ掛かり危ない落ち方で滑走を終了。
かなり痛そうにしていたので2本目以降が心配な結果に。
セミファイナルを1位通過、最近の世界大会ではスランプに陥っていた堀米 雄斗(日本)は最終トリックのノーリーフロントサイド270ノーズブラントをバンクトゥダウンレールでミスしたがそれ以外は完璧な滑りを見せた。
予選2位でストレートショッツを獲得し決勝に進出したアンジェロ・カロ(ペルー)は中盤までは完璧な滑りを見せたがミスを連発し流れに乗れず。
同じく予選1位でストレートショッツを獲得したフェリペ・グスタホ(ブラジル)も中盤でのスイッチヒールフロントサイドボードスライドでミスしフルメイクとはならず。


1本目でフルメイク者は出ず、2本目以降の勝負へ。

[2本目]
なんとか2本目をフルメイクし3本目で勝負をかけたい中盤戦。
カルロス・リベイロは序盤でミスしその後も巻き返せず最終トライへ。
ヴィンセントは中盤のウォーリーノーズグラインドをミスするも盛り返し1ミスで終えた。
ナイジャは中盤でミスをしそのまま流れを戻せずまだ試合感が戻っていない様子か。
ルイも序盤でミスしたが、タイムアップ直前にポーリーインノーズグラインドをダウンレールでトライする独特なセクションの使い方を見せ会場を沸かした。
ジョスリンは1本目でテンポの良い滑りを見せていただだけに期待がかかったが序盤でミス。
続くジオバンニは終始力強い滑りで1本目でミスしたフェイキーバックサイド270ノーズスライドも見事決めフルメイクしファイナルでの最初のフルメイクライダーとなった。
この流れに乗りたいジャガーは得意のスイッチノーズグラインドをダウンレールでまさかのミス。
ケルビンは1本目で合わなかったスタートもきっちり修正するも中盤でミス。
1本目でのミスの際に頭と腰を強打したジェイミーは2本目は回避。
堀米は序盤のダウンレールでバランスを崩すもなんとか持ち堪え、ラストトリックのノーリーフロントサイド270ノーズブラントをダウンレールで決め切りフルメイク。
ジオバンニに続く2人目のフルメイクライダーとして最終3本目に勝負をかける。
アンフェロは序盤でミスも360フリップインフロントブラントスライドをダウンレールで決め会場は盛り上がりを見せた。
フェリペも1本目のミスを修正しラストトリックまで完璧にまとめるが最後でミスしフルメイクとはならず。




ここまでフルメイクはジオバンニ・ヴィアンナと堀米 雄斗の2名のみというTampa Proの難易度を示す形に。


[3本目]

ここまで流れに乗り切れないカルロス・リベイロは最終トライも序盤でミス。
ヴィンセント・ミルーは完璧に修正し最後のトリックまでパーフェクト、しかし最後のバンクオーバーフリップフロントリップスライドをダウンレールでミスし惜しくもフルメイクならず。
タイムアップ後にレールオーバーのフロントフリップスイッチ5050をメイクし会場を盛り上げ今大会を終えた。
ナイジャ・ヒューストンは2本目と同じところでミスしファイナルではフルメイクならず。
終始楽しそうに滑っていた印象でこれから世界大会の舞台に復帰すると思われるので本調子に戻る姿が楽しみだ。
ルイ・ロペスはラストトリックまで完璧な滑りを見せるも最後のポーリートランスファーノーズグラインドでミスし惜しくもフルメイクならず。
その後会場からルイコールが起こり2度同じ技をトライするも成功ならずだが会場は大いに盛り上がりを見せた。
クリス・ジョスリンは終始テンポのいい滑りと持ち前のテクニカルビッグトリックを連発し、1本目でミスしたフェイキーフルキャブフリップも完璧に決め、最後まで決め切りフルメイク。
最終トライでメンタルタフネスさも見せ優勝も期待できるフルメイクに。
これでプレッシャーのかかった最初のフルメイクライダー、ジオバンニ・ヴィアンナは2本目のフルメイクを上回る構成が期待されたがまさかの序盤でミス、しかし2本目を高難易度でフルメイクしているので期待を持って結果を待つことに。
ジャガー・イートンは1本目と同じ箇所でミスし、消化不良で今大会を終えた。
ケルビン・ホフラーは流石の修正能力を見せラストトリックまで辿り着くも得意のダウンレールでのノーズスライドからバックテールスライドに掛け替えをミスしフルメイクとはならず。
ジェイミー・フォイは1本目のミスの際、やはりどこか痛めたのか滑走はせず1トリックだけ行い観客の声援に応える形で終えた。
2本目を完璧に決めた堀米 雄斗は更なる構成をアップデート、ノーリーフロント270ボードスライドをダウンレールでリバースアウト、アールからの飛び出しエクステンションでシュガーケーン、などで再度パーフェクトランを見せ優勝をグッと手繰り寄せるフルメイクとなったか。
ストレートショッツで予選から決勝にジャンプアップした、アンジェロ・カロ、フェリペ・グスタホの両名はそれぞれ精細を欠きミスが続き最終滑走を終えた。





優勝の行方はアワードセレモニーへ

決勝でのフルメイクは堀米 雄斗、クリス・ジョスリン、ジオバンニ・ヴィアンナの3名で、表彰台はこの3名に絞られた。

まず最初にコールされたのはクリス・ジョスリン(アメリカ)、3位となった。
これで優勝はジオバンニ・ヴィアンナ(ブラジル)と堀米 雄斗(日本)に絞られた。



そして2位にコールされたのは最初にフルメイクしたブラジルのジオバンニ、優勝は堀米という結果になった。



最終順位は以下の通り

1位 堀米 雄斗(日本)
2位 ジオバンニ・ヴィアンナ(ブラジル)
3位 クリス・ジョスリン(アメリカ)
4位 フェリペ・グスタホ(ブラジル)
5位 ケルビン・ホフラー(ブラジル)
6位 ジャガー・イートン(アメリカ)
7位 ヴィンセント・ミルー(フランス)
8位 カルロス・リベイロ(ブラジル)
9位 ナイジャ・ヒューストン(アメリカ)
10位 ルイ・ロペス(アメリカ)
11位 アンジェロ・カロ(ペルー)
12位 ジェイミー・フォイ(アメリカ)

ブロンソンスピード賞 イーライ・ウィリアムス
モブグリップ賞 ヴィンセント・ミルー
スケーターXLベストトリック賞 ジャック・オルソン
ズミーズデストロイヤー賞 アンディ・アンダーソン

そして、シード権を持たないライダーの中から最も順位の高いライダーに与えられるストリートリーグの出場権は2位となったブラジルのジオバンニ・ヴィアンナが獲得。

ストリートリーグ、ストリートリーグチャンピオンシップ、X Games、オリンピックと数々のタイトルを獲得し全てが「日本人初」という快挙を成し遂げてきた堀米 雄斗がこの伝統的な世界大会、Tampa Proのタイトルを初めて獲得しこれまた「日本人初」が付く形となった。
最近の世界戦ではスランプと言われていた堀米だがここからの復調、本来の実力が発揮されることに期待が出来る今大会だったと言えるでしょう。

東京2020オリンピックを境にますます注目を集めるコンペティションシーン。 それらを横目に変わらず進化し続けるストリートシーン。 CURRENT編集部では両シーンがクロスオーバーし、加速する近代スケートボードを独自の目線で情報をお伝えしていきます。
  • instagram
  • twitter