第7回マイナビ 日本スケートボード選手権大会 男子決勝 | CURRENT

第7回マイナビ 日本スケートボード選手権大会 男子決勝

| 2024.10.08
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今回で7回目の開催となった日本スケートボード選手権大会。
今年新たに大阪府吹田市エキスポシティ内に出来たムラサキパークで開催された。

第1回大会王者で、先月イタリアのローマで開催されたワールドゲームズでも世界王者となった佐々木音憧、第2回大会の王者で地元大阪出身の長井太雅、第4回大会王者佐々木来夢らが出場した。

次世代ライダーが多く出場した今大会でファイナリストには、安倍来夢松本浬璃藪下桃兵佐々木来夢濱村大征長井太雅佐々木音憧八島璃央と歴代王者や決勝常連が出揃った。

[Run 1]

準決勝の最終トライで決勝に滑り込んだ安倍来夢がいきなりフルメイクの82.30ptと今大会のレベルの高さを匂わせるスタートとなった。それぞれの選手が1本目からスコアをマークする中、最初にハイスコアを残したのが歴代王者の一人である長井太雅だ。

「バックサイド180ノーズピックグラインド」でスタートすると「ハーフキャブバックサイドノーズグラインド」、「トレフリップフロントサイドボードスライド」などをテンポよく繋いでいき「スイッチフロントサイド270リップスライド」や、さらには「バックサイドビッグスピンハリケーングラインドをラストトリックで決めるランでとフルメイクし92.53ptと2度目の日本王者獲得に視界は良好のように思えた。

しかし、そんな長井をさらに上回ったのが世界王者の佐々木音憧だ。

「バックサイド360ポップショービット」、「フロントサイド180キックフリップ」、「バックサイドノーズブラントスライド」の3トリックをいきなり絶妙なテンポで繰り出していくと、「アーリーフロントサイド180スイッチバックサイドフィーブルグラインド」と「ノーリーヒールフリップフロントサイドノーズブラントスライド」をメイク。途中の「バックサイドビッグスピン」はミスしたものの、ラストの「ハーフキャブバックサイドスミスグラインド」を決めた。フルメイクとはならなかったが減点対象もなかったのか、95.05ptとハイエストスコアをマークした。

[Run 2]

そんな90点台が続出の流れに乗ったのが地元大阪の藪下桃平

「シュガーケーン」で勢いよく飛び出していくと、「キックフリップバックサイドリップスライド」や「ブラントストールキックフリップアウト」、「キャバレリアルボードスライドリバート」、「アーリーフロントサイド180スイッチバックサイド50-50グラインド」、そして最後は「ハードフリップバックサイドリップスライド」までフルメイクし1本目からさらにランをアップデートし90.94ptをマーク。

さらに準決勝1位通過の八島璃央もこれに続く。

「キックフリップフロントサイドノーズグラインド」でスタートしていくと、高さのある「トレフリップ」、「スイッチフロントサイド270ボードスライドリバート」、「フロントサイド180ノーズピックグラインドリバート」などと繋いでいき、タイムアップギリギリで「キックフリップフロントサイドスミスグラインド」を決め切りフルメイクで92.19ptと4人目の90点台をマーク。

暫定首位は佐々木音憧、2位長井、3位八島、4位藪下と続き、史上稀に見るランセクションでの90点台ハイスコア合戦を繰り広げトリックセクションへ。

[Trick 1]

まずは藪下が「キックフリップバックサイドスミスグラインド」で84.14ptとハイスコアをマーク。
しかし、ここからランセクション同様90点台ラッシュがスタートする。まずは長井が「バックサイドビッグスピンフロントサイドブラントスライドショービットアウト」をハンドレールで決め90.07pt。
続いて佐々木音憧が「キャバレリアルバックサイドノーズブラントスライド」で94.90ptとここまでの最高得点を叩き出した。
さらにはランセクション2本目で優勝に望みを繋いだ八島。「キックフリップフロントサイドオーバークルックドグラインド」を決め91.51ptと佐々木音憧をしっかりマークした。

[Trick 2]

安倍来夢が「アーリーフロントサイド180スイッチフィーブルグラインドリバート」で81.20pt、藪下が「ビガースピンフリップフロントサイドボードスライド」で83.62ptを出して、まずスコアをフルマークさせた。

2本目でとんでもないスコアを叩き出したのは、ここまでマークしたスコアが全て90点台の佐々木音憧

「キャバレリアルノーズグラインド」を完璧に決め、95.47ptとここまでの平均が95点以上という異次元のスコアをマークした。

[Trick 3]

2本目に続き安倍が「アーリーウープのシュガーケーン」を決め90.19ptをマーク。
ランセクションで2本ともラストトリックが決まらずフルメイクできなかったがトリックセクションで上位にくらいついたい濱村大征が奮起。

トライ前に「1発で決めるんで」と宣言して挑んだ「ハードフリップバックサイドテールスライド」を宣言通りに、しかも完璧に成功させ94.68ptと佐々木音憧に続いてこの日2番目に高いスコアをマークした。

既に100点を出しても佐々木を上回れないため、表彰台争いとなった八島も「スイッチフロントサイドビッグスピンヒール」をステアで決め85.88ptと暫定で3位に上がった。

[Trick 4]

4本目唯一のスコアメイク者となった長井
逆転優勝には96点付近のスコアを2本必要な状況だ。

「バックサイド270フロントサイドブラントスライド」を決めて91.96ptをマーク。この時点で佐々木音憧の優勝が決まった。

[Trick 5]

順位争いに注目が集まったが果敢に攻めた最終トライでスコアメイク者が出ず順位が決まった。

男子決勝最終結果

世界王者、佐々木音憧が結果的に早々に勝負を決めた形となった今大会。
次世代の台頭としては今大会で3位に入った東北の雄 八島璃央、国際大会の経験も着実に積んでいる藪下桃平、惜しくも準決勝で敗退としたが大阪の田渕利來は今後も期待できる逸材と感じた。

しかし今大会には出場しなかったパリ五輪組、前回王者の小野寺吟雲白井空良、さらには五輪連覇の日本の、いや世界の絶対王者堀米雄斗が前を走っている現状。次に続くのが世界大会で決勝常連となっている根附海龍、東京五輪出場の青木勇貴斗
この5本柱を追いかけるのが今大会で優勝した佐々木音憧を筆頭に、大阪の長井太雅、東京の濱村大征、茨城の松本浬璃、和歌山の甲斐穂澄、静岡の重延亜周の同世代組だ。

日本女子同様熾烈になってきた日本のトップ争いだがスキルは非常に拮抗しているが、男子はここ一番での経験値や駆け引きでの差が大きいと筆者は感じる。だが、この経験値などの差も縮まってくると予想されるので今後の展開も非常に楽しみだ。

最後にはなるが、やはり女子同様にリプレイ検証がなかったことがどうしても気になってしまう。
女子に限らず男子もさらに複雑な複合トリックを各ライダーがトライし合っている中でボードやトラックの掛かり方一つで大きく順位が変わってしまいかねないレベルまで来ている。
これらが次の大会には改善されることを切に願う。

東京2020オリンピックを境にますます注目を集めるコンペティションシーン。 それらを横目に変わらず進化し続けるストリートシーン。 CURRENT編集部では両シーンがクロスオーバーし、加速する近代スケートボードを独自の目線で情報をお伝えしていきます。
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