各国パリオリンピック出場ライダーが決定!!最後の最後まで混戦だった日本代表争いは「1つのトリック」が明暗を分けたか!!!OQS2024ブダペスト・スケートボードストリート男子決勝!
約2年に及ぶパリオリンピック予選も遂に決着。
最終戦となったOQS2024ブダペスト スケートボードストリート男子決勝はマティアス・デルオリオ(アルゼンチン)、リヒャルド・トゥリー(スロバキア)、ケルビン・ホフラー(ブラジル)、根附海龍(日本)、白井空良(日本)、ブレイデン・ホーバン(アメリカ)、小野寺吟雲(日本)、堀米雄斗(日本)という顔ぶれとなった。
やはり注目は日本の代表争いとなる。
決勝前の時点で、小野寺がオリンピック出場が確定したため、残り2枠を3人のライダーで争うことになる。
前回オリンピック王者の堀米雄斗はこのラストチャンスを掴めるかどうか、白井、根附は猛追を振り切れるかが最大の焦点だ。
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[緊急速報] OQS2024 ブダペスト スケートボードストリート男子決勝直前 パリ五輪出場権争い最終ポイント状況(逆転出場へ望みを繋いだ前回五輪王者、堀米 雄斗)
出場権争いをしていた佐々木音憧(日本)、久しぶりのオリンピック予選出場となった金メダル候補のオーレリアン・ジロー(フランス)に注目が集まったが準決勝でいずれも姿を消した。
オリンピック予選で久しぶりの決勝進出となり、出場権獲得には2位以上が必須という条件の堀米雄斗。
アメリカでの出場権争いをクリス・ジョスリンと繰り広げており、クリスが準決勝で敗退したため順位次第ではポイントを逆転するブレイデン・ホーバンにも注目だ。
[ラン]
1本目
トップバッターのマティアス・デルオリオ(アルゼンチン)はスイッチバックテールハンドレール、トレフリップノーズスライドなど長身から繰り出させるテクニカルなライディングでフルメイクし、86.10のハイスコアとオープニングを飾った。
注目の代表争いをしている日本人ライダー、まずは根附。
ここをハイスコアで他にプレッシャーを与え有利に立ちたいところだが、そのプレッシャーは自身にもあったか、中盤のバックサイドクルックドグラインドノーリーキックフリップアウトでミスしハイスコアはマークできなかった。
続く白井も中盤でミス。
このチャンスを背水の陣で臨む前回オリンピック王者、堀米は逃さなかった。
スイッチバックサイドリップスライドでスタートしていくとスイッチフロントサイドブラントスライドなどランセクションでの高難易度トリックをしっかり繋いでいき、ラストトリックのノーリーハーフハーフキャブスイッチ5-0グラインドフロントサイド180アウトまで完璧にフルメイクしいきなり90.26をマーク。
プレッシャーのかかる立場から一転、ライバルにプレッシャーを与えることに成功し流れも引き寄せる立ち上がりを見せた。
2本目
1本目のフルメイクで勢いに乗ったアルゼンチンのマティアスが、ラストトリックをビッグスピンキックフリップフロントサイドボードスライドにアップデートするなどさらにスコアを伸ばし、91.92と暫定首位に浮上。
堀米が優勝しても自身の順位次第ではパリオリンピック出場権を獲得できる根附はヒールフリップバックサイドテールスライド、バックサイド180レイトショービット、キャバレリアルヒールフリップ、1本目でミスしたバックサイドクルックドグラインドもしっかりリカバリーし、完全に立て直したかに見えたラストトリック。
ヒールフリップバックサイドリップスライドの着地でまさかのミス。69.31と大きく出遅れてしまう。
同じく1本目でスコアメイクをできなかった白井はシュガーケーンからスタートしていき、アーリーウープフロントサイド270フロントサイドボードスライド、フロントサイド180スイッチクルックドグラインドなど得意なトリックをしっかり繋ぎ、ラストのキャバレリアルバックサイドテールスライドまで完璧にリカバリー、スコアも87.11と好位置につけた。
アメリカ内でのパリオリンピック出場権争いを繰り広げているブレイデンはラストトリックのインポッシブルを痛恨のミスしフルメイクはならず。
すでにオリンピック出場を決めている小野寺はキックフリップバックサイドテールスライド、ビッグスピンボードスライドショービットアウト、スイッチフロントサイド180バーレーグラインド、ノーリービッグスピンヒールフリップビッグスピンキックフリップボードスライドなど持ち味の難易度の高いテクニカルなトリックをフルメイクし90.08。
堀米は更なるスコアアップのため中盤のトリックをノーリーフロントサイド270ノーズスライドにアップデート狙うもミスしてしまう。
暫定首位マティアス、2位堀米、3位が小野寺と続き、トリックスセクションへ。
[トリックス]
1本目
スロバキアのベテラン、リヒャルドがスイッチヒールフリップバクサイド5-0グラインドの92.29とハイスコアを叩き出した。
ランの遅れを早い段階で取り戻したい根附はノーリーインワードヒールフリップフロントサイドボードスライドをミスしていまう。
トリックスセクションに強い白井はキャバレリアルバックサイドテールスライドビッグスピンアウトの世界最高峰の難易度を誇るトリックを一発で仕留め、92.51。
続くブレイデンもバンクトゥ キックフリップフロントサイドノーズグラインドをスタイリッシュにパーフェクトメイクし91.17
好調、小野寺もフロントサイドブラントスライドビッグスピンキックフリップアウトをしっかり決め94.89と続いた。
さらに流れを掴むべくトリックへ挑む堀米。
ノーリーフロントサイド180スイッチ5-0グラインドをキンクオーバーのハンドレールで見事一発メイク。
95.65とこの時点でのハイエストスコアをマーク。
暫定首位浮上で残り4トライで1つのスコアメイクという非常に有利な展開に持ち込んだ。
2本目
なんとかスコアメイクしたい根附はノーリーインワードヒールフロントボードスライドを成功、93.12と巻き返しの口火を切った。
白井はノーリービッグスピンバックサイドテールスライドをしっかり決め、90.40と90天台を揃えた。
続くブレイデンもバンクトゥレッジでインポッシブル50-50グラインドで89.90とトリックスセクションでフルマークに成功しアメリカ代表争いに望みを繋いだ。
ここで一気に勝負を決めたい堀米はとんでもないトリックに挑戦。
ノーリーフロントサイド270ノーズブラントスライドをいう背中側に270回りながらハンドレールにノーズをピンポイントで掛けスライドさせるとてつもない高難易度でリスクのある新技を出してきた。
惜しくも成功しなかったが、これを見せたことにライバル達によりプレッシャーを与えることになった。
3本目
2本目で勢いを取り戻した根附ヒールフリップフロントサイドブランドスライドをハンドレールで決め92.29とトリックセクションでのフルマークに成功この時点で暫定4位に浮上した。
トリックスセクションで勢いに乗るブレイデンはバンクトゥビッグレッジでキックフリップバックサイドノーズブラントスライドをパーフェクトメイク、96.00と現時点でのハイエストスコアをマークした。
小野寺はバックサイドテールスライドキックフリップアウトをバンクトゥレールで決め91.49と90点台を連発する好調ぶりを発揮。
ノーリー270ノーズブラントスライドを2回目で見事に決めた。これには普段冷静な堀米も吠えた。
スコアは97.10とこの日の最高得点を記録、トータルスコアも283.01と唯一の280点台に乗せ暫定首位に浮上した。
4本目
現状ではパリオリンピック出場には3位以上になる必要のある暫定7位の根附は逆転を狙いヒールフリップバックサイドテールスライドビッグスピンアウトをハバレッジでトライするもミス。
ラストトライに全てをかける。
5本目
ここまでスコアをマークできていなかった前回オリンピック銀メダリスト、ブラジルのケルビンがハーフキャブバックサイドノーズスライドトゥバックサイドテールスライドをハバレッジで決め90.07と最後に意地をみせた。
逆転を狙う根附はヒールフリップバックサイドテールスライドビッグスピンアウトを決めるもスコアは伸ばせず、7位となり条件としては堀米が3位以下となる必要があるが、白井が満点となる100点をマークしても堀米には届かないためこの時点で堀米雄斗のパリオリンピック出場が決定した。
逆転優勝には98.05が必要な小野寺はビッグステアでのバックサイドダブルキックフリップに挑むもミスし2位で今大会を終えた。
ウイニングトライとなった堀米はノーリーレイトキックフリップボードスライドをビッグハンドレールでトライするも決めきれなかったが見事にオリンピック予選最終戦を優勝で飾り、大逆転でのパリオリンピック出場を掴み取った。
大会結果
優勝 : 堀米 雄斗(日本) 283.01pt
2位 : 小野寺 吟雲(日本) 276.46pt
3位 : 白井 空良(日本) 270.02pt
4位 : リヒャルド・トゥリー(スロバキア) 266.09pt
5位 : マティアス・デルオリオ(アルゼンチン) 265.57pt
6位 : ブレイデン・ホーバン(アメリカ) 255.02pt
7位 : 根附 海龍(日本) 254.72pt
8位 : ケルビン・ホフラー(ブラジル) 178.62pt
見事劇的逆転優勝、大逆転でのパリオリンピック出場を決めた堀米雄斗。
前人未到のスケートボードオリンピック連覇に期待がかかる結果となった。
今大会の結果により、日本代表として小野寺吟雲、白井空良、堀米雄斗がパリオリンピックに出場内定。
これまでのオリンピック予選で思うような結果が出ず、非常に苦しい約2年間だったが最後の最後でしっかり結果を出すのは流石という言葉以外が見当たらない。
一方ここまで好調だった根附海龍は最終戦で逆転されてしまい、あと一歩のところで悲願だったパリオリンピック出場を逃してしまった。
約2年間の戦いが、1つのトリックで明暗を分ける厳しい勝負の世界だということを改めて痛感させられたOQSブダペスト大会。
今大会でも表彰台を独占するなど「お家芸」と言われるほど日本のスケートボードストリートが世界トップレベルであることを完全に証明している。
その中で国内代表争いを強いられる世界1過酷なオリンピック出場権争いだと言っても過言ではない。
これらを見事勝ち抜いた、小野寺、白井、堀米はパリオリンピックでもメダルに期待したい。
もう一つ熾烈な代表争いを繰り広げていたアメリカのパリオリンピック出場権争いはナイジャ・ヒューストンとジャガー・イートンが出場ほぼ確定する位置につけており、残りの1枠をクリス・ジョスリンとブレイデン・ホーバンが争った。
クリスがセミファイナルで敗退したため、ブレイデンは3位以上で逆転でのパリオリンピック出場権獲得だったが6位だったため、クリス・ジョスリンのパリオリンピック出場が確定した。
トリックセクションでのスコアが今大会3位の白井よりも上回っていたため、日本の根附同様ランセクションでのラストトリックのミスが大きく明暗を分けた可能性が高い結果となった。
このように、長期間に渡る各国代表争いが1つのトリックで全てを変えてしまうのがスケートボードだ。
そして、パリオリンピックスケートボードストリート男子は全22ライダーが確定となった。
パリオリンピックでもこの「1つのトリック」で明暗を分けることが起こる可能性がある。
前回オリンピック王者、堀米雄斗の連覇か。
あるいは新たなオリンピック王者の誕生か。
全ての可能性があるパリオリンピックスケートボード男子は、いずれにせよ世界最高峰のクオリティの大会になることは間違いないだろう。
●今日 ○イベント開催日