パリ五輪予選 OQS2024 上海 スケートボードストリート女子決勝
いよいよ残り2戦でパリ五輪出場が決まるOQS、フェーズ2第1戦目となる上海大会のスケートボードストリート女子決勝。
男子同様に出場権争いが非常に激化している。
今大会前まで世界ランキング3位の織田 夢海がまさかの予選敗退。
同じく世界ランキング1位で前回五輪王者の西矢 椛が準決勝で姿を消す波乱の大会となった。
決勝に勝ち上がったのは、ポエ・ピンソン(アメリカ)、ウェンフイ・ゼン(中国)、チェンシー・チー(中国)、中山 楓奈(日本)、ライッサ・レアウ(ブラジル)、吉沢 恋(日本)、赤間 凛音(日本)、クロエ・コベル(オーストラリア)となった。
中国勢が決勝に2人勝ち残る結果となり、アジアでは日本1強というイメージに中国ライダーが割って入った。
出場権争いは日本が非常に混戦模様となっており、現在日本でのトップ2である西矢と織田が決勝に残れず、この2人を追いかける中山、吉沢が決勝に残り順位を逆転できる可能性が高まった。
現時点での出場枠圏内につけている赤間が唯一の決勝進出者となり、その地位を確実なものにすべく今大会での大幅なポイント獲得を狙える構図だ。
海外勢ではチェンシーとウェンフイが世界ランキング上げるチャンスとなりパリ五輪出場へ大きく前進しそうだ。
いずれにせよ各ライダーの決勝での順位が非常に重要になる。
【ラン】
(1本目)
まず一歩前へ出たのが日本の吉沢。
ハンドレールでバックサイドスミスグラインドからバンクトゥバンクでトレフリップと繋いでいきラストのバックサイドビッグスピンフロントサイドボードスライドまで完璧に決め切り84.04のハイスコアをマーク。
良い流れに続きたい赤間もきっちりフルメイクし87.41と首位に躍り出るがこれ続いたのがオーストラリアのクロエ・コベルだ。
フロントサイドフィーブルグラインドで勢いよくスタートしていくとバックサイドテールスライド、ステアでのスイッチキックフリップからスイッチフロントサイドボードスライドと繋ぎ、ラストトリックのビッグステアでのキックフリップまでパーフェクトラン。
87.34とこちらもビッグスコアで暫定2位につけた。
(2本目)
2本目ではアメリカのポエと中山がそれぞれ80ポイント台としっかりスコアを残す中、1本目のスコアを大幅に上回ったのが日本の赤間とブラジルのライッサだ。
ライッサはキックフリップフロントサイドボードスライドからフロントサイドノーズグラインド、キックフリップバックサイド50-50、バックサイドテールスライドショービットアウト、ラストはハンドレールでフロントサイドブラントスライドのショービットアウトと異次元のパーフェクトランで92.23。
これに続いたのが日本の赤間。
バックサイドスミスグラインドやフロントサイド360オーリーなど1本目同様に繋いでいくが途中のフロントサイドビッグスピンをフロントサイドビッグスピンヒールにアップデート、ラストのフロントサイド180スイッチ5-0まで完璧に決め90.11とライッサを射程圏内で追走する形に。
ライッサと赤間が頭一つ抜けた形でトリックセクションへ。
【トリック】
(1トライ目)
まずここでハイスコアを出したのが中国の新鋭、チェンシーだ。
ビッグステアに設置されたハバレッジでキックフリップバックサイド50-50を決め85.51をマーク。
世界大会2回目の決勝とは思えない堂々としたライディングを見せている。
1トライ目のハイエストスコアを出したのが吉沢。
キックフリップフロントサイドボードスライドを決め88.05と幸先の良い出だしだ。
(2トライ目)
吉沢は続く2トライ目でもをフロントサイドハリケーングラインドをしっかり決め85.64とスコアを揃えた。
パリ五輪出場権争いで追いかける立場の中山はモヒカンレッジでフロントサイドクルックドグラインドを決め83.84をマークし残りのトライに勝負をかける。
ライッサもこの2トライ目でキックフリップバックサイドリップスライドをハンドレールで一発メイクし91.81をマーク。
1本目に続きフルマークし他のライダーにプレッシャーをかけた。
(3トライ目)
分岐点となることが多い3トライ目でスコアをマークしたのはアメリカのポエと中国のウェンフイだ。
ポエ1、2トライ目とミスしていたバンクトゥオーバーのフロントサイドサイドスミスグラインドを決め85.77とようやくスコアをマークした。
久しぶりの世界大会での決勝となった中国のウェンフイは1、2トライ目で狙っていたトリックをハンドレールでのバックサイドテールスライドに切り替えた結果功を一発で仕留め、86.13のハイスコアとなり上位戦線に踏みとどまった。
(4トライ目)
4本目にまず流れを動かしたのがチェンシー。
ステアに設置されたハバレッジでキックフリップバックサイド5-0グラインドをグラインド中バランスを崩したかに思えたが見事着地で持ち直し、勝負強さを見せた。スコアも85.07とこれでフルマークとなった。
ここまでランでハイスコアを出しながら1トライ目以降なかなかスコアを出せていなかった赤間がここでビッグスコアを叩き出した。
ハンドレールでフロントサイド270フロントサイドボードスライドを決め92.55。
暫定首位のライッサに1ポイント差以内につけプレッシャーをかけた。
最終トライを前に暫定首位にライッサ(ブラジル)、2位赤間(日本)、3位は序盤でのアドバンテージを守っている吉沢と続いた。
(5トライ目)
この上海大会から1つの順位の差で大きく獲得ポイントが変わる。
当然1つでも順位を上げておきたいところ。
最終トライでそれを実現させたのがアメリカのポエ・ピンソンだ。
バンクトゥギャップオーバーのレールでバックサイド5-0グラインドをバンラスを崩しながらもなんとか成功させ88.11、トータルを254.06としチェンシーを抜いて4位に浮上した。
赤間に逆転されるの可能性を残して最終トライを迎えたライッサ。
百戦錬磨、勝負所を理解している彼女はここでヒールフリップフロントサイドボードスライドをハンドレールで決めた。
スコアは90.85と赤間を突き放すことに成功。
最終トライの結果を待つことに。
赤間は逆転優勝には92.24ポイントが必要で持ち技を考えれば十分に可能性がある。
選んだトリックはハンドレールでのフロントサイドフィーブルグラインドフロントサイド180アウトをしっかりと決めた。
結果は0.54ポイント及ばず2位でフィニッシュとなった。
最終結果
優勝 : ライッサ・レアウ(ブラジル)274.89
2位 : 赤間 凛音(日本)274.35
3位 : 吉沢 恋(日本)257.73
4位 : ポエ・ピンソン(アメリカ)254.06
5位 : チェンシー・チー(中国) 247.44
6位 : 中山 楓奈(日本) 165.86
7位 : ウェンフイ・ゼン(中国) 164.74
8位 : クロエ・コベル(オーストラリア) 87.34
まず今大会で世界のトップ3であるライッサ・レアウ(ブラジル)、クロエ・コベル(オーストラリア)、西矢 椛(日本)と言われていた勢力図だったが、赤間 凛音(日本)や今大会では惜しくも予選敗退というまさかの結果に一転パリ五輪出場権争いで追う立場となった織田 夢海(日本)、今大会で3位に入り一気にパリ五輪出場県内にジャンプアップした吉沢 恋(日本)が入りややフラットと言える状況に。
ライッサが、スコアメイクや試合運びを考慮すると頭一つ抜けている印象だ。
今大会では本調子を出しきれなかったクロエもこのままいくとは思えない。
やはり、ライッサとクロエに日本勢がどのように頂点争いを繰り広げるかという図式はパリ五輪まで続くと考える。
そして注目のパリ五輪出場権争いは今大会を終えて大きく入れ替わる結果となった。
ブラジルのライッサが同国4番手のライダーが次戦で優勝してもライッサを上回れないので出場確実という結果になった。
大混戦なのが日本の出場権争いだ。
世界ランキングトップ10にフェーズ2に進んだ全員が入るというスケートボード強国ぶりを見せている。
今大会前まで世界ランキング1位だった前回五輪王者の西矢 椛が5位、日本人では3番手に、同じく世界ランキング3位だった織田 夢海が7位、日本人5番手とそれぞれランクダウンした。
前回の五輪経験者で今大会で出場権獲得圏内まで順位を上げたかった中山 楓奈は世界ランキング6位と順位をキープしたが日本人では4番手と出場権内には入れなかった。
今回一気にジャンプアップし出場権内に入ったのが今大会3位となった吉沢 恋だ。
世界ランキングも3位と4つ順位をあげ日本人でも2番手に躍り出た。
日本人トップの赤間 凛音が386771ポイントと次戦ブダベスト大会を前に非常に有利なポジションとなった。
しかし、ポイント差では現在出場権トップの赤間と世界ランキング10位伊藤までが245754ポイントとなっており、優勝ポイントが260000ポイントとなっているので逆転できる可能性が残っているのだ。
つまりこれは最終戦、ブダベスト大会まで全員がパリ五輪出場の可能性を残しているということになる。
出場権争いを詳しく見てみよう。
現在出場権圏内の西矢とそれを追う4番手の中山との差が14588ポイント、西矢と5番手の織田との差が59034ポイント、西矢と伊藤との差が127607ポイントとなっており、OQSのポイントを考えると一つの順位の差で大きく入れ替わる可能性がある。
出場権を争っているライダー達は計り知れないプレッシャーと戦いながらこの予選を戦ってきている。
自分自身とも戦いながらパフォーマンスを出さなくていけない非常に難しい状況の中、今大会のように何が起こるか最後までわからないオリンピック予選。
次戦、パリ五輪予選最終戦となるブダベスト大会は予選から決勝まで全く目が離せない大会になりそうだ。
●今日 ○イベント開催日