Japan Street League 2024 年間王者が決まる最終戦 “BIG YEAR GIG” 大会レポート | CURRENT

Japan Street League 2024 年間王者が決まる最終戦 “BIG YEAR GIG” 大会レポート

| 2024.10.04
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photograph by Shuji Izumo

*本記事はアクションスポーツメディア「FINEPLAY」の転載記事となります。

2024年9月29日(日) 埼玉県所沢市にあるSKiP FACTORYにてJapan Street League(以下、JSL)の2024年最終戦となる”BIG YEAR GIG”が開催された。先週行われた「X Games Chiba 2024」でのストリート・ベストトリックにてあのナイジャ・ヒューストン(USA)を抑え優勝し注目を集める池慧野巨(イケ・ケヤキ)をはじめ、北野朝戸(キタノ・セト)原田結衣(ハラダ・ユイ)の2名のガールズスケーターを含めた総勢26名のスケーターが参戦。

こちらの会場であるSKiP FACTORYは2016年にオープンした所沢市にある屋内スケートボードパークで、約1000㎡ほどの面積を有し関東でも最大級の広さを誇る。今年8周年を迎え、8月には大幅なリニューアルを行い、これまでと同様にハンドレールやクォーターなど各セクションのサイズは大きめだが、シンプルでよりストリートを意識したセクションが多くなっているため、スケーターたちがどの様にセクションを攻めるかで高評価に繋がっていくと考えられる。

SKiP FACTORY

JSLは今年より国内大会では珍しい男女混合のジェンダーレス大会として行われており、出場選手は完全招待制。オリンピックイヤーの今年は年間を通じて全2戦で開催し、その結果によって年間王者を決めるストリートツアーリーグである。

世界の舞台へ繋がるリーグになることを使命と掲げるこのJSLは、より世界を意識する為、国際ストリート大会同様のレギュレーションを採用。出場スケーターは5グループに分かれて予選ラウンドを戦い、獲得点数上位8人による決勝ラウンドで年間王者の座を争う。

予選は45秒のラン2本のみで争い、ベストスコア1本(100点満点)が採用され、全てのヒートのポイント上位8名が決勝進出となる。決勝は45秒のラン2本とベストトリック5本の計7本のうちのベストスコア4本の合計点(400点満点)で勝敗が決まる。ただし、ランは最大で1本のみの採用。このことより決勝ではラン2本でミスをしてもベストトリックで逆転も可能となるため、最後の1本までの体力と集中力が必要となる。

最終戦“BIG YEAR GIG”を制し、年間王者になったのは池 慧野巨!!

池 慧野巨のライディング

池 慧野巨は世界最高峰とも言われているスキルの持ち主であり、間違いなく日本ではNo.1と言っても過言ではないだろうか。ランで池はレッジで「キャバレリアルバックテールスライド」、ジャンプボックスで「ワンフットオーリー」、ランの最後にはハンドレールで「スイッチフロントフィーブルグラインド」に挑むもトラックが外れていた為、得点が伸びず70.00ptとなりラン2本終了時には6位となった。

ベストトリックでは5本全てをハンドレールで挑戦。1本目は「スイッチフロントボードスライド」で85.00pt。2本目は「ノーリーバックスピンテールスライド」をミス。3本目には完璧とも言える「ノーリービックスピンバックサイドテールスライドフェイキー」をメイクし86.07ptを獲得した。4本目には「スイッチフリップフロントボードスライド」を85.23ptをメイクしトップに躍り出ると、5本目では「ノーリーバックサイドスイッチフロントフィーブルグラインド」を惜しくもミス。しかしその後の選手に池を越える得点が出なかったため、そのまま2024年の年間王者に輝いた。

X Gamesがあって、NIKE SBからパートもローンチしていい感じだったんで、その調子を切らさない為にも、今日も頑張ろうと思っていました。これからもJSLをはじめ、出られる試合は出たいです。コンテストに出たら上手くなるし、スケボーの基礎がいろいろできるようになる。そのあとにストリートにいけば、よりストリートの面白さがわかると思うんで、みんなもいろんなところでいっぱい滑ってください。」と喜びとともにストリートで頑張っているキッズたちへメッセージを送った。

田渕利來のライディング

15歳の田渕利來は成長真っ最中で前回大会よりも跳躍力が高く、技のメイク率も高かった。決勝ラン2本目では全体的に安定したライディングで、ジャンプボックス、ステア、ハンドレールと各セクションを上手に使い、フルメイクし84.03ptを獲得してトップへ。

ベストトリックでは「ビガーフリップフロントボードスライド」で84.23pt、「バックサイドフィーブルグラインド360アウト」は75.90pt、「オーリーレイトフリップ」が73.57ptと合計317.73ptで2位となった。
予選通過時のインタビューでは「緊張しました。滑り終えたら結構楽チンかなぁーって思って、楽になりました。このまま決勝にいけたら、全大会よりも順位を上げて、さらに表彰台目指したいですね!」と語った通り、優勝は逃したものの有言実行でしっかりと表彰台を手にし準優勝した。

村上涼夏のライディング

今回SKiPFACTORYがリニューアルされたセクションに最もマッチしていたのが村上涼夏。持ち味のスピードを生かした技が炸裂した。ランでは「トランスファー」からの「インポッシブル」、「スイッチクルックドグラインド」と終了間際までフルメイクランするも最後「スイッチバリアルヒールフリップ」でミス。

この「スイッチバリアルヒールフリップ」は、予選ランから全て最後で失敗するという痛恨のミス。この技のミスがなかったらどこまでポイントを伸ばせたのか気になるところだ。だがランでは80.83ptと高得点を獲得。ベストトリックでは「バックサイドオーリートランスファーボードスライド・トランスファーアウト」で75.97pt。

3本目・4本目と攻めるも惜しくもミスのため、最後5本目で技をメイクしなければ入賞できないというまさに崖っぷち状態に。その緊張の5本目では、3本目・4本目と失敗していた「フロントサイドウォールライドトランスファー」を完璧に決め、見事80.67ptを獲得。なんと村上はベストスコアが3本のみだったが、合計237.47ptで見事3位となった。

今回仲間たちとストークし会場を盛り上げた村上は「2023年シリーズはスケジュールの関係でJSLをスキップしてたので、今年は絶対にメイクするために参戦しました。本当にサイコー!みんな楽しみましょう!」と村上らしい言葉で締め喜びを語った。

今大会の特別賞に選ばれたのは原田結衣!

原田結衣のライディング

男子に負けず劣らず果敢に攻めた女子選手に贈られる特別賞のベストスタリッシュに選ばれたのは神奈川県出身の原田結衣。原田はこのリニューアルされたセクションを余すことなく使い得点を伸ばし42.87ptを獲得する。惜しくも予選通過とはならなかったものの、今大会のベストスタイリッシュを受賞した。

その後のインタビューでは「今日は嬉しかったです。これからもストリートやパークにとらわれないで、誰もやってない様なスタイルでやっていきたいです。今回の賞金は将来に為に貯金します(笑)」とにこやかに嬉しさを語ってくれた。

原田結衣(左)と北野朝戸(右)の2名の女子選手が参戦
今回のJSL最終戦参加選手たち

アフターパーティーという名のカーブセッション

山附明夢のライディング

今回も最終戦ということで恒例になりつつある「裏JSL」と名付けられたアフターパーティーが行われた。裏というだけあってカーブセクションでの現金取っ払いセッションが行われ、選手・運営・メディア・観客と老若男女関わらず参加。

ルールは簡単。技をメイクするのは大前提、その中でクオリティーはもちろんだがオリジナル性を求められる。現金を持った審査員が独断でばら撒くシステムなだけに参加者全員が闘志むき出し、欲むき出しでセクションに挑んだ。

浦野 建隼

もう誰がどれだけ取ったかわからないほど、会場は熱気と歓声に包まれながら2024年シリーズのJSLが締めくくられた。

JSL発起人の3名 (左から立本和樹、ロス・バトソン、中澤弘純)

根附海龍がJSLからSLSへと飛び立ち、現在もその活躍に勢いが止まらない。今後もJSLはネクスト根附を輩出するべく、世界へと繋がる登竜門大会の確立を目指し、現在もSLSとはミーティングを重ねている。2024年シリーズはここで終了するが、来年2025年シリーズも引き続き注目して頂きたい。

text and photograph by Shuji Izumo

大会結果

左から原田、村上、池、田渕の順

優勝  :  池 慧野巨 (イケ ケヤキ)   326.30pt
第2位  :  田渕 利來  (タブチ リク)  317.73pt
第3位  :  村上 涼夏  (ムラカミ リョウガ)  237.47pt

第4位: 八島 璃央 (ヤシマ リオ) 255.47pt
第5位: 松本 浬璃 (マツモト カイリ) 159.60pt
第6位: 渡邊 星那 (ワタナベ セナ) 157.53pt
第7位: 山附 明夢 (ヤマヅキアイム) 148.54pt
第8位: 齋藤 吟平 (サイトウギンペイ) 58.63pt
特別賞: 原田 結衣 (ハラダユイ) 42.87pt

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<JAPAN STREET LEAGUE 2024 最終戦概要>

タイトル】 BIG YEAR GIG
日程】 2024年9月29日(日) 
会場協力】 SKiP FACTORY skateboard park
〒359-0016 埼玉県所沢市新郷220-1

招待選手】浦野 建隼/山附 明夢/浦野 晴/齋藤 丈太郎/齋藤 吟平/池 慧野巨/三星 怜生/田渕 利來/酒井 琥珀/柿谷 斗輝/澤田 莉旺/根間 瀬斗/八島 璃央/渡邊 星那/瀧永 遥句/甲斐 穂澄/高橋 陽太/大場 蓮/安部 来夢/松本 浬璃/和田 陽翔/石井 太陽/村上 涼夏/澤田 莉旺/北野 朝戸/原田 結衣 (順不同)

特別協賛】 FOD / SEIKO 5 SPORTS / Columbia / SKiPFACTORY / ステンレスアート共栄 / RedBullJapan / MARUHAN
協力】  4s sound / Liveheats / Tufleg / GREENFUL
MC】 上田豪 (メインMC) / 寺井裕次郎 (サブMC)
ジャッジ】 謝花明徳 / 橋本貴興 / 宮島大介
ライブ配信】 FODプレミアム(フジテレビオンデマンド)
主催】 JAPAN STREET LEAGUE実行委員会

東京2020オリンピックを境にますます注目を集めるコンペティションシーン。 それらを横目に変わらず進化し続けるストリートシーン。 CURRENT編集部では両シーンがクロスオーバーし、加速する近代スケートボードを独自の目線で情報をお伝えしていきます。
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