各国パリオリンピック出場ライダーが決定!!最終トライまで大混戦と逆転に次ぐ逆転劇で日本代表も決まった!!OQS2024ブダペスト スケートボードストリート女子決勝
約2年に及ぶパリオリンピック予選大会も遂に決着。
最終戦となったOQS2024ブダペスト スケートボードストリート女子決勝はチェンシー・チー(中国)、中山楓奈(日本)、 ペイジ・ハイン(アメリカ)、吉沢恋(日本)、赤間凛音(日本)、伊藤美優(日本)、織田夢海(日本)、クロエ・コベル(オーストラリア)という顔ぶれとなった。
注目は大混戦となっている日本代表のパリオリンピック出場権争いだ。
今大会決勝を決めたことにより赤間がパリオリンピック出場内定を決めており、残り2枠を5名で争うこととなり、吉沢が有利な状況だが決勝の順位次第では入れ替わる可能性がある。
そんな決勝は最後のトライまで順位とオリンピック出場権が入れ替わる歴史的な大混戦となった。
[ラン]
1本目
現状代表争い日本人3番手につける中山はフロントサイドクルックドグラインドをビッグハバレッジで決めスタート、ヒールフリップフロントサイドボードスライド、バックサイドテールスライドと繋いでいきバンクトゥレールバックサイドリップスライドのフルメイクで83.56ptのハイスコアをマークし後続にプレッシャーをかけた。
続く、吉沢もバックサイドスミスグラインド、ビッグスピンフロントサイドボードスライドなど得意なトリックをしっかり繋ぎフルメイクの73.25pt。
逆転出場には優勝することが必要な伊藤もアールでフロントサイドテールスライド、バックサイドテールスライド、高さのあるキックフリップやバックサイドリップスライドなど力強いライディングでフルメイクし75.08pt。
中山を追う織田もキックフリップフロントサイドボードスライドといきなり高難易度トリックでスタートするとバックサイドクルックドグラインド、バックサイドテールスライドと繋ぎラストのバックサイド5-0グラインド までフルメイクし中山を上回る85.43ptをマークし暫定首位に立った。
2本目
スケート歴わずか約3年で世界のトップ争いをしている中国のチェンシーはバックサイド5-0、フロントサイドフィーブルグラインド、ダイナミックなキックフリップメロングラブなど1本目のミスをリカバリーし72.50pt。
なんとか織田を上回って折り返したい中山もヒールフリップバックサイドテールスライドにアップデートを試みるも決めきれずスコアを伸ばせない。
有利とはいえ後続の猛追を振り切りたい吉沢はラストトリックをバックサイドノーズスライドビッグスピンアウトにアップデートすることに成功しスコアを大きく伸ばし84.42と暫定2位につけた。
ランセクションを終えて、暫定首位は織田、吉沢、中山と続いてトリックスセクションへ。
なお、現状の順位だと織田と吉沢が出場権獲得となっている。
[トリックス]
1本目
中山は自身の代名詞的トリックであるフロントサイドクルックドグラインドをビッグハンドレールで決め83.22ptとハイスコアをマーク。
アメリカのペイジは得意の逆スタンス、スイッチフロントサイドボードスライドをビッグハンドレールで決め87.39pt。
2本目のランで流れに乗ったか、吉沢はキックフリップフロントサイドボードスライドをビッグハンドレールで成功し88.16ptと非常に有利なポジションに。
伊藤は準決勝ではハンドレールで決めたフロントサイドブラントスライドをハバレッジで決め87.19pt。
中山のプレッシャーを跳ね除けたい織田はバックサイドオーバークルックドグラインドをビッグハンドレールで挑むもミスしてしまいスコアメイクならずと苦しい状況に。
世界女王経験者でオーストラリアのクロエは得意のフロントサイド50-50グラインドキックフリップアウトをハンドレールで一発成功し88.06ptのハイスコアをマークした。
まだフルマークではないが、この時点では吉沢と中山が出場圏内に。
2本目
チェンシーはビッグステアでキックフリップメロングラブに成功し86.28ptのハイスコア。
早い段階でスコアをフルメイクし、精神的にも有利に運びたい中山だったがヒールフリップバックサイドリップスライドをビッグハンドレールで狙うも痛恨のミス。
一気に勝負を決めたい吉沢はフロントサイドハリケーングラインドをビッグハンドレールで成功し89.75ptとスコアをフルメイクし一歩リード。
すでにオリンピック出場を決めている赤間はロントサイドフィーブルグラインドフロントサイド180アウトの高難易度トリックで92.10ptとこの時点でのハイエストスコアをマーク。
1本目を早い段階でカバーしたい織田バックサイドオーバークルックドグラインドをビッグハンドレールで見事リカバリーし87.28ptとこの時点では中山を上回ることに成功し状況としてはイーブンに戻した。
3本目
勝負所の3本目は全ライダーがミスしスコアマークはならず、状況はキープしたままいよいよ終盤戦へ。
4本目
中山は2本目からトライしているヒールフリップバックサイドリップスライドに果敢に挑戦するも決められず。
赤間がここでフロントサイド270フロントサイドボードスライドリバースをビッグハンドレールで決め93.48ptのハイスコアに。
ここで勝負を動かしたのは追う立場の織田だ。SLSでも世界最高得点となっているキックフリップフロントサイドフィーブルグラインドをビッグハンドレールで決め95.81ptと一気に状況をひっくり返した。4本目を終えた時点では吉沢と織田に出場権がある状況。
5本目
後がない中山はビッグハンドレールでヒールフリップバックサイドリップスライドをラストにして決め切り96.62ptとこの日のハイエストスコアをマーク。
前回オリンピック経験者としての勝負強さと意地を見せた。
しかし、織田を上回ることはできずこの時点で織田が暫定首位、中山が2位となり、ブダペスト大会前のポイント差が44446ポイントで中山がリードしていたが、1位と2位では獲得ポイント差が52000ポイントあるため、ポイントランキングでは織田が逆転する状況である。
この状況を一変させたのが吉沢。ビッグスピンキックフリップフロントサイドボードスライドをビッグハンドレールを決め96.12ptを叩き出した。
これにより吉沢が暫定首位となり、2位織田、3位中山。
2位と3位のポイント差が31200ポイントとなるのでこの時点でポイントランキングでは再び中山が織田を上回ることになった。
目まぐるしく入れ替わる状況の中、織田は89.06ptを出せば逆転優勝となり、優勝すれば文句なしでパリオリンピック出場内定を獲得できる状況となった。この極限状態の中で一度はランディングした織田だったがタイミングが合わず、仕切り直しをする。
見ている人達全員に伝わるような緊張感だ。そんな状況を楽しんでいるようにも見えた織田は観客からの声援を要求し、自らを奮い立たせているように見えた。
そんな彼女が最後に選んだトリックはビッグハンドレールでのキックフリップバックサイドスミスグランド。
無情にもトラックはレールに掛からず逆転優勝、逆転でのオリンピック出場は叶わなかった。
この瞬間、今大会の結果で吉沢と中山のパリオリンピック内定が決まった。
大会結果
優勝 : 吉沢 恋(日本) 270.29pt
2位 : 織田 夢海(日本) 268.52pt
3位 : 中山 楓奈(日本) 263.02pt
4位 : 赤間 凛音(日本) 266.09pt
5位 : クロエ・コベル(オーストラリア) 262.50pt
6位 : 伊藤 美優(日本) 250.73pt
7位 : チェンシー・チー(中国) 239.91pt
8位 : ペイジ・ヘイン(アメリカ) 221.15p
この結果、パリオリンピックスケートボードストリート女子出場ライダー22名が決定した。
最終予選の最終トライまで混戦だったパリオリンピック日本代表争いは、逆転に次ぐ逆転劇だった。
内定ライダーは赤間凛音、吉沢恋が共にオリンピック初出場、前回オリンピック銅メダリストの中山楓奈が2大会連続出場となった。
前回オリンピック女王の西矢椛が準決勝敗退、パリオリンピック出場を逃し初出場が2名、前回メダリストが3枠目に滑り込むなど日本が世界でのレベルの高さが証明された。
男子同様、世界一過酷な代表争いと言っても過言ではない。
東京オリンピック予選でも最後の最後で涙をのんだ織田夢海はまたしても最終戦で悲願のオリンピック初出場の夢は叶わなかった。
過酷な出場権争いは幕を閉じたが、次はパリオリンピックでのメダル争いがすぐに始まる。
今大会に出場しなかった金メダル候補筆頭、ブラジルのライッサ・レアウ。
世界女王経験者で同じく優勝候補、オーストラリアのクロエ・コベル。
ここに日本人ライダーたちがどうメダル争いを繰り広げるか。
また新興勢力がこの世界の牙城を崩せるか。
約2年という長い戦いの終わりは、本当の戦いの始まりの合図でもある。
パリオリンピックスケートボードストリート女子はこれまでにない歴史的なハイレベルが予想される。
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