攻め続けたステアでラストに逆転優勝。「2025 SLS SANTA MONICA TAKEOVER 」女子決勝
アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルスのサンタモニカにて現地時間5月23日(金)、新しくスポットテイクオーバーと題される「2025 SLS SANTAMONICA TAKEOVER」が開催された。
スポットテイクオーバーとは実在するスケートボードスポットからインスピレーションされ今回のサンタモニカではサンタモニカピアに位置するトリプルセットのステアをほぼ同じく再現する形のセクションが登場。
現地レポーターのアレックス・ホワイトいわく「リアルトリプルセットはレディースではかつて誰もオーリーなどをメイクしていない」とのことであった。
5名のスケーターが各7トライ行い、点数の良かった3トリックの得点にて競われるのが今大会の形式。
WOMEN’Sで出場したスケーターはこの5名となる。
マージリン・ディダル(フィリピン)
ペイジ・ハイン(アメリカ)
上村葵(日本)
伊藤美優(日本)
クロエ・コベル(オーストラリア)
1トライ目

マージリンが先陣を切るもフロントサイドノーズグラインドを着地でミス。ペイジは確実にバックサイドボードスライドをメイクし3.5pt。上村はさらに難易度の高いバックサイドリップスライドをメイクし6.1ptの幸先の良いスタートを切る。伊藤は高難易度のフロントサイドブラントスライドにトライした。クロエはトリプルセットステアにて得意のキックフリップをファーストメイクし7.5ptで会場を沸かした。
上村とクロエが良いスコアを獲得し勢いに乗って2トライ目へと進む。7トライのみのため1つでも多くのメイクが鍵となってくるように感じる。
2トライ目

マージリンは1トライ目同様ギャップトゥハバにてフロントサイドノーズグラインドをメイクし5.8pt。ペイジはスイッチオーリーをダブルセットステアにてメイクし4.3ptで確実に得点を重ねる。上村はバックサイドスミスグラインドを着地で惜しくもミス。伊藤も1トリック目同様惜しくもメイクならず。クロエはトリプルセットにてヒールフリップをメイク。8.0ptの高得点を獲得した。
マージリンも1トリック乗り、ペイジも立て続けにメイク。クロエのみがトリプルセットステアにてトリックをメイクしクロエのペースで3トライ目へと続くのであった。伊藤のフロントサイドブラントスライドはスタイル込みの抜群のトリックのためメイクが見たいところだ。
3トライ目

マージリンはアプローチの確認後、フロンサイド5-0グラインド、ペイジはスイッチフロントサイドボードスライドを狙うもミス。上村は2トリック目と同じくバックサイドスミスグラインドを完璧にメイクし6.2ptを獲得。伊藤は果敢にフロントサイドブラントスライド、クロエはスイッチキックフリップをダブルセットステアで行うもミス。
上村が難易度の高いバックサイドスミスグラインドにて首位クロエの後を追う形で勢いに乗り逆転への期待を高めた。マージリンとペイジにも先ほどのトライ以上にメイクが近いと感じさせた。さらに果敢にトライする伊藤のフロントサイドブラントスライドの4トライ目でのメイクにも期待である。
4トライ目

ダブルセットにてマージリンがオーリーバックフットレイトヒールフリップに挑むも回転できずに失敗。ペイジも立て続けにスイッチフロントサイドボードスライドにトライするもミス。上村はバックサイド5-0グラインドを難なくメイクし4.7ptを獲得し。伊藤もフロンサイドブラントスライドを完璧に乗りこなし高得点の7.8ptを叩き出した。クロエは3トリック目同様のスイッチキックフリップを挑むもメイクならず。
確実に得点を叩き出した上村が3トリックのスコアを揃えて17.0ptにて首位へ躍り出た。伊藤も4トライ目にて高得点を叩き出して良い流れで後半のトライへと挑む形となった。
5トライ目

マージリンはフロントサイド5-0グラインドを狙うも着地でウィールが滑り惜しくもメイクならず。ペイジも果敢にスイッチフロントサイドボードスライドをトライしたがなかなかメイクへとならず。上村はダブルセットにて完成度の高いヒールフリップをメイクし7.0ptにて首位に躍り出た。伊藤は得意技のハードフリップをダブルセットステアにてトライしたがメイクまであと少しであったが前足が地面へと着地してしまった。クロエもダブルセットにてスイッチフリップを挑み着地まで成功させたが、すぐさま身体がボードから前に飛び出してしましい惜しくもメイクならず。
上村のヒールフリップは解説のマルトもパーフェクトと唸るほどのメイクで得点をアップデートさせ19.3ptにて首位をキープさせた。クロエのスイッチのフリップトリックは今大会ではWOMEN’Sではまだメイクがないため高得点へと期待が高まる。2人の優勝争いが加速する中、残り2トライへとなった。
6トライ目

マージリンがフロントサイド5-0グラインドをメイクし5.1ptを叩き出した。ペイジは3トライ目から狙うスイッチボードスライドをメイクならずで流れに乗れないところであった。上村はダブルセットステアにてハーフキャブヒールフリップをトライするも板を弾くタイミングが合わずにメイクならず。クロエはスイッチフリップをトライするもフリップ回転が多すぎてしまった。
終盤になり体力も削られる中、マージリンのみが得点を叩き出し表彰台へと登る3位に躍り出てラストトライを迎えるのであった。上村の今大会WOMEN’S初となるフェイキーでのトライは通常のオーリーと異なり前で板を弾くフェイキーであったため、ラストトライにてメイクできればかなりの高得点が狙えるトリックである。
ラストトライ

ラストトライは滑走順が異なり6トライ終了時点の順位の5位からの滑走となる。ペイジはラストトリックも同様スイッチフロントサイドボードスライドに挑むもミス。伊藤は6トライ目と同じハードフリップ。キャッチまで良い感じであったがメイクならず。とても惜しいところだったので悔やまれる。マージリンはオーリーバックフットレイトヒールフリップは空中で遅れて板を回転させる高難易度トリックであるがメイクならず。クロエは果敢に挑んだダブルセットでのスイッチキックフリップを完璧にメイクし8.3ptにて逆転首位に。上村の再逆転を狙うハーフキャブヒールフリップが決まらず、クロエの逆転優勝が決まったのであった。
最終順位
優勝 クロエ・コベル (オーストラリア)23.8pt
2位 上村葵(日本)19.3pt
3位 マージリン・ディダル (フィリピン)10.9pt
4位 伊藤美優(日本)7.8pt
5位 ペイジ・ハイン (アメリカ)7.8pt
サンタモニカのトリプルセットステアセクションを唯一攻めたクロエが逆転優勝といった形で「2025 SLS SANTAMONICA TAKEOVER」女子は幕を閉じた。マージリンは2019年以来となるSLSの登場、かつ初の表彰台にてトロフィーを獲得した。同ポイントの場合、高得点を獲得した方が順位が上となるルールが採用されて伊藤が4位に。
果敢に攻め続けた5名のスケーターに集まったギャラリーから多くの歓声と拍手が送られていて感動的な今大会であった。サンタモニカピアはロサンゼルスの中でも有名な観光地でもあり、ピアなだけあって室内のアリーナ戦とは違い、風の強さもアプローチやトリックに影響する。その中で数々のメイクを生み出した適応力は流石といった言葉に尽きる。TAKEOVER SERIESはサンタモニカの今大会を皮切りにあと3戦行われる予定であり、どのスポットをインスピレーションしてセクションが作られるのかさらに楽しみになるのであった。
クロエは大会後、リアルトリプルセットステアにてキックフリップを挑み惜しくもデッキが折れてしまい、あとわずかでメイクであったようだが集まったギャラリーを沸かすなど、プロアマ問わず楽しめるストリートのスケートボードもまた一つの醍醐味である。スケートボードの発祥の地、アメリカ。ロサンゼルス、サンタモニカがスケートボードにて大盛り上がりの1日になったことは間違いない。
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